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「老化を遅らせよう」=千馬医師講演=〃活力年齢〃こそ必要

2007年8月17日付け

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)は、千馬寿夫老年内科医師(44)を講師に招いて、八月の定例役員会を十日、ホテル・グラン・メリア・モファッジで開催した。千馬さんは老化のメカニズムや高齢期の心構え、老化を遅らせるのに必要なことなどを説明した。
 千馬さんは、サンパウロ大学医学部付属クリニカ病院の老人内科、一般内科、在宅医療主任、緩和医療外来などで勤務している。
 講演会ではまず、「良い老後を過ごすためには」という題について「あつかましいテーマですね。これが解決できれば医者をやめていますよ」と冗談を飛ばし、「老化は防ぐものではなく必ず来ます。遅らせることを目指すのが現実的でしょう」。
 がんや脳卒中、糖尿病、心疾患などの生活習慣病は、食生活、ストレス、アルコールなどの生活習慣と、高血圧、高血糖などの基礎疾患が危険因子となる。「基礎疾患は治るものではなく、コントロールするもの。四十歳までに自分の習慣と疾患を把握することが大事です」とした。
 老化のメカニズムには、代表的に、ある年齢に達すると働き出す遺伝子が、細胞死などを引き起こすというプログラム説と、細胞の活動にエラーが生じ、それが長年蓄積して老化につながるというエラー説があると説明。
 老化と栄養の関係については、「食事制限はキレイに生きるためだけでなく、長生きにもいいもの」。動物実験で、人生の前半で食事を制限し後半は自由に食べるという形式が最も長生きする、との結果があることから、「戦前の方が長生きなのが良くわかると思います」と話し、笑いを誘った。
 千馬さんは「〃生き延びる〃ということについては、ほとんど医学で淘汰されてしまっています」と話し、「気持ちを若々しく保つのがいい心構えで、若いときから悲観的な人は長生きできない」。「老化を遅らすのに必要なのは、歴年齢とは別の、活力年齢」と説いた。
 活力年齢は、脂肪量、血圧、コレステロール、肺機能、敏捷性、平衡性、瞬発性で図られるが、有酸素運動をすることの重要性、また、ゲートボールをしているだけで骨密度は断然変わってくるとの調査結果を示した。
 最後にアメリカスポーツ医学会のガイドラインから、「有酸素運動以上に筋力の保持を重視していることがわかる」とし、自宅で簡単に出来る運動例を六つを紹介した。
一、腕立て伏せ(ひざをついた状態で行う)
二、腹筋運動(背中を持ち上げないでヘソをのぞきこむ)
三、ひざ屈伸(大腿部の強化)
四、踏み台昇降運動(下腿部、大腿部の強化)
五、ラジオ体操
六、ストレッチ運動