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米上院、エタノール法制定=石油代替燃料として供給保障

2007年8月15日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六月三十日】米上院は二十八日、バイオエネルギー市場に大きな影響を及ぼしそうなエタノール法(エネルギー・ビル)を制定した。米上院は二〇二二年に年間三六〇億ガロン(一三六一億リットル)のエタノールを石油代替燃料として、供給を保障すると決定したのだ。
 エタノールの世界生産は二〇〇六年に一三〇億ガロン(五〇〇億リットル)に達した。ブラジルと米国だけで年間四五億ガロン(一七〇億リットル)を生産したので、さらに八倍が必要になる。そのエタノールを、一体どこで生産するというのか。
 米国産エタノールは、ほとんどトウモロコシで作る。そのため二〇〇五年には九四億ドルの補助金が支払われ、一〇五億ブッシェル(二億六六七〇万トン)のトウモロコシが使われた。一ブッシェルのトウモロコシで二・七ガロンのエタノールしかできないなら、全ての米国産トウモロコシを投じても二八四億ガロンにしかならない。
 トウモロコシの作付面積と反当り収穫高の増大を、見積もったのかも知れない。しかし、食糧用や飼料用、農産加工用作物の耕作地は確保してあるのか。トウモロコシ依存から離れ、植物繊維からのエタノール生産を計画しても、繊維を取る木材やわら野草を大量に入手できる見込みがあるのか。
 植物繊維からのエタノール生産は、技術的に大量生産の目途は立っていない。いつから生産が始まるか分からない代物なのだ。ブラジルでも早くからセルローズからのエタノール生産を研究しているが、更に五年から七年は結論が出ないと思われる。
 マサチューセッツ工科大学の計算では、二二〇億ガロンのエタノールを生産するために二五〇〇万エーカーまたは一〇万平方キロの農地が必要という。それは、ケンタッキー州の全面積または米国全可耕土面積の五%に当たる。
 要するにエタノールには、とてつもない市場が開けているということ。米国は保護貿易の徹底した国で、ブラジル産エタノールにガロン当たり〇・五四ドルの課徴金を課している。この課徴金制度を二〇一〇年まで延長した。しかし、三六〇億ガロンのエタノールを米国市場に供給するには、市場の全面開放は論を待たない。