2007年8月14日付け
「ねじれ国会」で政界は荒れそうだ。自民大敗で参院議長は第一党の民主党に移り江田五月氏。55年に自由民主党が創設されてから―こんなことは初めてであり永田町の困惑は大きい。何しろ政府与党が衆院で可決した法案でも、民主党など野党が多い参院では否決される事態も起こりうる。また―野党が参院に法案を提出し可決もあるだろうし、これだけでも政界の混迷は深い▼既に「郵政民営化」を凍結する法案などが提出されたし、こうしたケ―スがこれから続出するのではないか。もし、野党提出の法案が参院で可決されたとしても、与党が圧倒的に強い衆院では否決され、法律にはならない可能性が高い。だが、法案を多数提出することで―野党としては「政策アピ―ル」の政治的な狙いを訴える効果も期待できる▼こうした「ねじれ現象」で怖いのは、外交の一貫性がなくなるのではないかの懸念である。この臨時国会で最大の課題は「テロ特措法の延長案」だ。安倍首相は参院選で敗北したこともあって「民主党の協力を得て」と低姿勢だけれども、民主党の小沢一郎代表は鼻息が荒い。「是非、延長に賛成を」と要請するシ―ファ―駐日米大使との会談でも堂堂と「拒否」である。元々、小沢代表は「テロ特措法」には反対なのだが、民主党には賛成派も多い▼この小沢発言を巡って国会は、自民党と民主党で大きな論争が巻起こるだろうが、「テロ特措法」は11月1日で期限が切れる。もし、野党の反対論が強くなれば、外交の一本化は失われ、日本は国際的な支援活動からの撤退という「屈辱」を味わうことになるのではないか。(遯)