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世界金融不安=国内経済に影響なし=財務相が太鼓判=体力十分、外貨準備も十分=金利引き下げは続行

2007年8月11日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】米不動産ローンを震源とする金融パニックを受けてマンテガ財務相は九日、ブラジルは一五〇〇億ドル以上の外貨準備があり、国際的な金融不安に耐えられる体力があるから、国内経済がその影響を被ることはないと言明した。米不動産ローンの焦げ付きでフランス最大のパリーバス銀行が、ハイリスクのファンド三種を取引停止処分とし、余波が世界の金融市場へ及んだ。EU中央銀行と米連邦準備制度理事会(FRB)は、緊急事態に介入し、一五四〇億ドルを市場に注入した。
 発展途上国のカントリー・リスクは、ブラジルも含めて大幅に上昇した。サンパウロ市証券取引所の株価指数は三・二八%も暴落、ドルも上げた。マンテガ財務相は、冷静に振舞うよう投資家の説得に努めた。外貨準備は昨年同期に五〇〇億ドルしかなかったから、現在とは雲泥の差という。
 世界恐慌の有無が最近取り沙汰されていた。しかし、今回の金融パニックは構造的なものではないと関係者はみる。不動産ローンの焦げ付きで投資資金の引き揚げが続発するなら、問題は別である。投資信託銀行が一斉にクレジットを中止したのも、金融不安に拍車をかけた。
 今回の金融パニックでブラジルは、経済基盤が健全で金融不安に動揺しない国に類別されると財務相が述べた。証券取引所で全銘柄が下落したが、ブラジルそのものの下落ではないし、基本金利は引き下げを続行するという。
 メイレーレス中銀総裁は、世界の金融市場に激震があったが、ブラジルでは微震であったと声明を発表した。政府の国債は順調に売れ、金融取引は通常通りに行われている。時期的に世界的金融不安が予想される時にブラジルが採った為替政策や外貨準備、インフレ対策は正解であったと自画自賛した。
 米版住専ともいえる米不動産ローンは、購入するマイホームを担保にローンを組むものであった。不況に陥った不動産業界を活性化するため、不動産会社はマイホームを担保に低利のローンを提供した。低利資金に市民が殺到し、融資金を生活費に当てるなど生活様式が変化した。
 入れ金二〇%で別口ローンをあっせんした。全額融資になると、マイホームは高価なものになった。しかも低利は変動制で、定期的に調整された。金利調整に収入が平行しないと不良債務者となる。こうして不動産ローンの一五%に焦げ付きが生じた。
 経済アナリストのミング氏は、恐慌の有無判断は予測困難という。ユーロ圏十三カ国の面倒を見るEU中央銀行は、一三一〇億ドルを輸血して窮状を救った。二〇〇一年の9・11テロ時に起きた金融パニックの倍額である。いっぽうFRBは二四〇億ドル、カナダ中銀も出した。こうして、恐慌を回避して行くのか。
 今回はパリーバス銀行の取引停止がパニックの口火であった。一体どの位、米不動産ローンの不良債権が世界中にくすぶっているのか不明である。国際金融市場は、米不動産ローンという時限爆弾を抱えていると言えそうだ。