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上院議長の口座開示へ=資産の推移を解明=議員権はく奪の可能性も=議事運営への支障必至

2007年8月9日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】最高裁のレワンドウスキー判事は七日、ソウザ検事総長の要請に応じ、カリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)の銀行口座と資産明細の守秘開示を許可した。これは国税庁と中央銀行が二〇〇〇年以降の同議長の資産の推移を解明するものである。同議長は最高裁審理の他に上院倫理委員会でも審理を受けるため、上院の議事運営に支障をきたすものと予想される。また上院執行部は倫理委員会で、スキンカリオール飲料会社が時下相場の五倍で買収したカリェイロス一族の倒産会社についても疑惑解明を行うことにした。
 大統領府は上院議長の失脚を考慮した。ルーラ大統領も小切手税の審議遅延を憂慮。上院議長は七日、銀行口座と資産明細の開示、他人名義で買収したラジオ放送局の実態解明、国税庁と中銀における資産状況と三回も致命傷を負ったといえそうだ。同議長は、自己の政治生命に関わるので全力をかけて議長席を死守する意向だ。
 上院議長の愛人へのお手当てに端を発した資金源疑惑は、上院議長の首へ縄を掛けることになりそうだ。最初はプライバシー問題として片付けようとし、資金源に触れなかった。しかし、自由社会党(PSOL)が食い下がり倫理委員会へ訴えた。そして資金源の提出書類がやぶへびとなった。
 最高裁が同件の疑惑審理を容認したことで、上院議長の議員権はく奪の可能性が高くなってきた。同議長の資産が過去七年間に急増したことで、国税庁と中銀による疑惑解明のメスが入ることになった。最高裁は、PSOL会党)が上院執行部へ提出した同議長の告発状コピーを求めた。まだ余罪があるものと、最高裁はみている。
 上院執行部は当初、同議長の疑惑解明に消極的であった。しかし、野党の民主党(DEM)とブラジル民主社会党(PSDB)が巻き返しを図り圧力をかけたので、執行部も腰を上げたようだ。スキンカリオール飲料会社によって社会保障院(INSS)と国税庁の債務を決済した書類と、他人名義のラジオ局買収の書類を倫理委員会へ送った。
 上院法務部は上院議長の救出で奔走し、PSOLの告発を上院に対する告発として葬ろうとした。告発は雑誌報道に基づくもので議長個人に対する悪質なざん言であると、倫理委員会で審理対象から外すよう試みた。上院法務部のカスカイス委員長は、上院法務委員ではなく議長の顧問弁護士のように立ち回り、告発取り下げに努めた。
 渦中の人、カリェイロス上院議長は七日、初めて議長席を降りて本会議の証人席で抗弁を行った。全ては根も葉もないマスコミのぶ告による告発だという。やましい資産は一切ない。同議長のライバルであるリラ元下議やエレーナ元上議らが黒幕だと、名指しで非難した。もとをただせば、僻地アラゴアスの縄張り争いが発端だという。
 ホンジュラス訪問中のルーラ大統領は、上院議長の疑惑は北東部地方の個人的な確執が原因だとした。それが国会運営の支障になるなら、議会リーダーと党幹部を集め、収拾に努めるという。大統領は、最高裁判断よりも倫理委員会で決着をつけたい考えのようだ。