2007年8月8日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】最高裁は六日、ソウザ検事総長によるカリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)の違法蓄財と偽造文書行使、背任行為、金融犯罪に関する告訴状に基づき、審理手続きを開始した。実娘養育費の資金源を合法化するため、ねつ造伝票発行の事実解明をも検事総長が求めた。最高裁の審理に並行して上院倫理委員会でも、上院議長に関する政治倫理の審理は行われる。スキンカリオール飲料会社が上院議長所有の倒産飲料会社を買収したことで、どんな裏取引があったかの捜査も行われる。
最高裁の上院議長に対する審理は、刑事訴訟である。上院倫理委員会の審理は政治倫理と議員権、政治活動についてであり、最高裁とは平行し、交錯することも参考にすることもない。連邦警察が二カ月にわたって捜査した証拠書類は、上院倫理委員会へ提出され後、最高裁へ回された。
親族名義で買収したラジオ放送局二社二五〇万レアルの件は、告訴状に記載されなかった。報道の段階で事実確認は、まだ行われていない。同議長は最近、一〇〇〇万レアルの買い物をした。この資金源をも検察庁が疑問視している。
検察庁が調べた範囲では、同議長がマフリアウ精肉会社からねつ造伝票を乱発し、資金源の合法化を試みた。他に弟であるオラーヴォ・カリェイロ下議(PMDB)から牛を購入し、受け取った領収書も架空取引の容疑がある。
アラゴアス州財務局へ数年前、閉業手続きを行ったGFとカルナウの二幽霊会社発行のねつ造伝票が多数、同議長から提出された。ねつ造伝票に関する鑑定書が、最高裁で審理の決め手になると検察庁はみている。潔白を主張し議長辞任を拒み、議員辞職も否む同議長の立場は、さらに微妙になると予想される。
最高裁ではレワンドウスキー判事が、同議長の審理に関する報告担当裁判官に選ばれた。同判事は全ての告訴状と証拠書類、その他不足書類を集め、本法廷へ提出する。ここで最高裁は上院議長を刑事被告人として裁くか、証拠不十分で棄却するかを決める。
ブラジルの上院が発足して一八一年、上院議長が雑誌Veja五月二十五日号で愛人との私生活をすっぱ抜かれ、政治生命を絶とうとする四面楚歌の中で、七十三日間もしんぎんするのは初めてである。
議長辞任攻勢でようやく野党は、足並みが揃ったようだ。アグリピーノ・マイア上議(民主党=DEM)は上院議長が議事を采配する間、一切の表決に応じないと宣言し、追放の旗頭となった。ヴィルジリオ上議(ブラジル民主社会党=PSDB)も、議長の釈明を不十分だとし、辞任を求めた。
上院議長は七月二十日、検事総長に最高裁による審理を自ら要請したという。七月十日には、自ら資産明細と銀行明細、電話明細の公開を検察庁に願い出たと発言。雑誌Veja最新号が「レナンの秘密結社」で特集を組んだのを非難した。同議長によれば、Vejaを発行するアブリウ出版社こそ、煙のカーテンの中でメディア企業を桁違いの一〇億レアルで売買する秘密結社だと訴えた。