2007年8月8日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七月十九日】コンゴーニャス空港の惨事は、一体どんな教訓を与えたのか。ブラジル人気質は、他人のことには無頓着である。ヒットしたゼッカ・パゴジーニョの歌謡曲が、よく核心を突いている。「物事は気にせず、放っておけ。人生は、流したり流されたりするものサ」という。
ブラジルには、社会保障院の累積赤字より大きな事故はあるまい。既に耳が痛くなるほど聞いているが、耳を傾ける者はいない。この累積赤字は、どんなに多数の人々を不幸へ陥れるのか。遠くない将来、心配していたことが起きる。
現在配布している年金は、財源不足で支払えなくなる。不足分を公的資金で充足するのか、神頼みでもするのか。政府は、財源不足を管理上の問題だという。不正取得や横領、滞納、アングラを取り締まれば解決と思っている。
曲り道の先に断崖絶壁があることを、誰が知らせるのか。現在起きている航空管制トラブルにしても問題は、日に日に深刻化している。淡水不足も対応が急務である。教育システムの欠陥は、猛スピードで社会疎外者を生み出す。
国家治安もその一つで、その被害を直接被るのは中流階級だ。リオのスラム街で起きたことは、他人事ではない。サンパウロ市の貧困地域を根城とする州都第一コマンド(PCC)の徘徊は、対岸の火事ではない。やがて縄張りは中流階級の居住地域へ手を伸ばす。
問題山積に対し政府は、納税者を宗教裁判のように水攻め火攻めで徴税することしか考えない。二〇一一年にエネルギー危機が迫っていることは、火を見るより明らかである。しかし対策はノロノロ、あきれてものもいえない。
重税で公共工事の資金は捻出したが、企業の国際競争力は殺がれた。そしてブラジルの投資コストは、世界最高水準に並んだ。外貨準備高の一五一〇億ドルは、年金制度の崩壊や航空管制トラブル、水不足、社会疎外者、治安パニック、エネルギー危機などの代償と思えばよい。
ルーラ大統領は、そんなことでクヨクヨしない。数々の危機は気にせず、放っておけ。政治ショーとは、流したり流されたりするものサ。