2007年8月7日付け
ブラジル日系老人クラブ連合会(重岡康人会長)は、第三十一回老人クラブ大会、老ク連芸能祭を五日、文協大講堂で初めて同日開催した。大会は三十回を越え、人が減り、マンネリ化していたために、二つの行事をまとめて一日にすることで集客を図ったのが今年。式典や講演、老ク連教室の発表、芸能の披露、貞弘昌理JICAシニアボランティアによるギターの特別演奏が次々と行われ、大講堂の座席は八割方が埋まった。例年以上の人出に、老ク連役員らからは「来年も一緒にやりましょう」との声が聞かれ、今後も同日開催される見込みだ。
午前八時半からの開会式には、野末雅彦JICAサンパウロ支所次長、森口イナシオ援協会長、松尾治県連会長、吉岡黎明救済会会長らが列席。先没者への黙祷、老人クラブの歌斉唱で始まり、今村幸敬老金が九十三歳以上の九十人強に贈られた。
重岡会長は今村さんをあげて、「日系社会はすばらしい二世、三世の後継者を得て支えられている」とあいさつ。敬老金を受けた人たちの代表として壇上に上がった畑井建治さん(100)は「皆さんのおかげで今でも毎日元気にゲートボールをしています」と健常振りを見せ、拍手を受けた。
講演会では、栖原郁子マリーナ農協婦人部連合会(ADESC)指導者が「日本は我慢の文化だが、我慢にも限度がある」と日系社会と接してきた感想を述べた。「辛かったことを我慢するのも大事だが、それを言葉に出して話していくことも大切」とし、移住の経験や日本の文化を後世に伝えていってほしいと訴えた。
玉越豊子同会副会長は、ADESCの成立経緯を説明し、「私たちは田舎のオバサンだけど、お互いの協力でやってこれた。食の安全に気をつけて、ブラジル社会にもこの活動を広げていきたい」と抱負を語った。
続く、芸能祭では、二十の支部から百六十四人が参加し、民謡、日本舞踊や団体での体操など、一年間の活動の成果が熱演された。
イタペチ万寿会は、老人クラブの歌に合わせた踊りを披露。会場では、見よう見真似で振り付けを真似る観客がおり、「今では、日本でこの歌がほとんど使われてないって。ブラジルが受け継いでやってるのよ」と、職員の金藤康子さんはうれしそうに話していた。
表彰式前には、貞弘シニアがギターで「さくら」を演奏。一緒に口ずさむ観客の姿が見られた。
「好きだから続くんだよね~」と、袴姿で舞いを披露した冨永政子さん(93)。「足が痛くなることもなく、家族のおかげでまだやってますよ」。しっとりと踊りあげ、個舞Aに優勝に輝いた。
初めて参加したというリベイロン・ピーレス錦友会の赤木竜巳会長は「出ることに意義があると思ったけど、五位に入賞して満足してます」。丸山茂インダイアツーバ親和会会長は「今日は地元でカラオケ大会があるんだよ。けど、出てきて良かった」と、満面の笑みで帰路に着いた。
芸能祭の結果は次の通り。民謡A/優勝=松本としよ、二位=大沢恵子、三位=宇佐見トシ子。民謡B/優勝=菅沼政子、二位=市来照子、三位=土田正五郎。個舞A/優勝=冨永政子、二位=平田里子、三位=安梅マサ、四位=沢田祥静。個舞B/優勝=松本笑子、二位=丸山茂、冨永和則(対舞)、三位=西田和子、四位=市村キミ。団舞A/優勝=サンパウロ鶴亀会、二位、三位=ジュンジャイ老荘睦会、四位=サンパウロ東部紅葉会、五位=リベイロン・ピーレス錦友会。団舞B/優勝=サント・アンドレ白寿会、二位=ビラ・マリア鶴寿会、三位、四位=ビラ・ソニア老荘クラブ、五位=インダイアツーバ親和会。