2007年8月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】TAM航空機の未曾有の事故により、存在そのものが問われて昨今の議論の的となっているサンパウロ市コンゴーニャス空港だが、カサビサンパウロ市長は二日、同空港を拡張する案を連邦政府に意見具申したことを明らかにした。
同案は主要滑走路の両翼のモエマ方面とジャバクアラ方面にエスケープ(脱出あるいは非常停止)と呼ばれる延長滑走路を新設するというもの。今回の事故で、原因はともかく事故機が滑走路で停止できずに滑走路をオーバーランしたことを受けたもので、エスケープで事故防止につながるとの考えを強調している。
モエマ方面のエスケープ構想は、バンデイランテス大通りとワシントン・ルイス大通りの頭上に橋梁を架設して交通に影響することなく、アラメイダ・ニャンビクアラス街まで直線九〇〇メートルとなる。
ジャバクアラ方面は、エンジェネイロ・ジョルジ・コルビジェイロ大通りまでの一〇〇〇メートルに及ぶ直線コースとなる。現在の主要滑走路は一九四〇メートルで、エスケープ滑走路が完工するとほぼ倍増となる。
市当局の見積もりによると、建設費用は約五億レアルで、緊急案件を適用して突貫工事をすると一年で完工できるとしている。しかし、新設のためには周辺の民家および商店の接収が必要で、時間を要するとみられている。
市当局は、建設は官民合同プロジェクト(PPP)を適用する意向だが、接収の費用は連邦政府に委ねるとしている。専門業者筋によると、接収に要する経費は五億レアル以上に上ると試算しているものの、モエマ地区では高級住宅および商店が多く、ジャバクアラ地区は古いながらも由緒ある建物が多く、接収交渉は難航するとみられている。 今回の拡張案を伝え聞いた住民は逸早く立ち退き反対を表明している。住民らはこれまで飛行機事故の不安に悩ませられた挙句に立ち退きとは何事だと怒っている。また、これにより地価と建造物の評価額が暴落することを危惧している。