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余りにもバカバカしくて…=新手の汚職に打つ手なし?

2007年8月1日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七月十日】ブラジルの汚職話は聞き飽きたが、毒入りミルクが毎日配給されるのが気になる。レナン・カリェイロスとジョゼ・サルネイ二人組みの悪知恵の泉は、どこにあるのか。レナンのバーチャル牧場や幽霊肉屋など、やがて昔話になると思われるが。
 マセイオ市で昔、牛殺しをしていた先住民の混血老女が、レナンの牛を購入したという。歯の抜けた文盲の牧場支配人が牛売却代金の小切手を受取り領収書に、牛の糞がついた手で拇印を押したらしい。
 余りにもバカバカしくて、連警も事情聴取がイヤになった。でも連警はそれが職業だ。ブラジル上院の運命がかかる大事件。話の辻褄は合っているので、ホントともウソともいえない。こういうのを「泥色の革命」というらしい。ブラジリアの新型汚職だ。
 日本にも婦人議員をパンスケと呼んで、議員をクビにされそうになった話がある。同議員はパンスケでなく、ポンスケと呼んだと告白し一命を取り留めた。パンスケと呼ばれた婦人議員は、議論するのがバカバカしくなって抗議を取り下げたというのだ。
 モラルなき政治と言い訳のイデオロギーは、ブラジルをどこへ導くのか。労働者党(PT)のバラ色の夢は死んだ。ブラジル民主社会党(PSDB)は溶解した。ルリズムにゴマを擦るブラジル民主運動党(PMDB)にとって、ブラジルは馬の尻尾だ。国民は何を信じたらよいのか。
 しかし、悲観することはない。ブラジルは、四〇〇年の眠りから覚めたヒヨコである。ブラジルというヒヨコが産声を上げた鶏舎は、糞まみれだがヒヨコを食う動物はいない。この糞は、バタリーの上に落された鶏糞と思えばよい。やがて乾燥して下へ落ちる。
 イエス・キリストの時代にも、汚職で不法資産を築いた金持ちはいた。涙と汗を伴わず得た財産は身につかない。それは実でなく、サヤのようなものだとキリストはいった。高級車や豪邸などの不正蓄財は、砂上の楼閣という。
 ブラジルの詐欺文化では、汚職を法律の悪用でも犯罪でもないと思っている。詐欺横領学を学ぶと、完全犯罪の手法と法の網の潜り方を教える。ブラジルは四世紀の間、カピタニア制と自治制によって複雑な官僚制度をつくり、汚職の温床を育ててきた。
 現在も二万の信任職があって、猫が魚の番をしている。信任職があるところには、必ず泥棒がいて局ぐるみで公金を公然とすぐねている。これを取り締まる刑法には抜け道があって、裁かれることはない。
 CPI(議会調査委員会)が半ダースの人間を罰しても、もっと悪質なウイルスが増えるばかり。育雛室や孵化器を消毒する必要がある。新手の汚職術を研究している輩がいて、レナン流も新しいタイプの汚職といえる。徹底的にバカバカしくシステムを設定するのだ。ラランジャ(名義賃貸人)は生活が保障されるのだから、名前が汚れようとどこ吹く風だ。