ジウマ大統領は24日、ニューヨークでの国連総会での演説で、10月5日に迫った大統領選を意識したように、自身の在任時の実績を語り続けた。またルーラ前大統領は、メンサロン事件に関する連邦警察からの事情聴取の求めを「知らなかった」と切り捨てた。25日付伯字紙が報じている。
24日に行なわれた第69回国連総会において、ジウマ大統領は24分間に及ぶ演説を行なった。その中でジウマ大統領は、米国やその同盟国によるシリアのイスラム国空爆問題に関し、「武力では紛争の根本解決には至らない」と名指しを避ける形で穏やかに批判も行なった。
だが、その演説の大半は、投票日まで2週間を切った段階での選挙キャンペーンともとれる内容で、ジウマ大統領は自身の任期(2011~14年)と、ルーラ前大統領の任期(2003~10年)における労働者党(PT)政権の実績について延々と語った。
大統領は「ブラジルに民主政治が戻って30年ほどになるが、私たちはこの12年間、より多くの人を取り込んでいけるような社会を築いてきた」と語り、雇用創出や所得の向上、社会格差の縮小に努め、世界的な飢餓マップから姿を消したことを強調。「2002年は社会の半分以上が貧困層か極貧層にいたが、今では4人に3人が中流かそれ以上だ」と、民主社会党(PSDB)のカルドーゾ政権(1995~02年)と対比した。
また、経済に関しても「国内総生産(GDP)での世界ランキングが13位から7位に上がった」と強調。2008年に世界的な経済危機が起こったにもかかわらず、雇用や所得を向上させてきたと主張した。
更に、同性愛嫌悪や人種差別をなくすために引き続き取り組みたいと語り、政治汚職の根絶を目指して戦っていく意向だとも繰り返した。
この演説後、ジウマ大統領は取材陣から「国連の場で大統領選を利用してはいないか」との質問を受けたが、「私が大統領として誇りにしている基本的なことを話したに過ぎない」と語った。
一方、ルーラ前大統領は同じ24日、大サンパウロ市圏サントアンドレでサンパウロ州知事候補のアレッシャンドレ・パジーリャ氏の選挙キャンペーンの集会をした後、取材陣から「連邦警察の事情聴取を受けるのか」と問われた。
これはメンサロン事件の主犯格のマルコス・ヴァレーリオ氏が行なった「ポルトガル・テレコム社がPTに700万レアルの賄賂を支払った」との発言に基づき、連邦検察庁が連警にルーラ氏の事情聴取を求めていたことを指す。連警では半年前から同氏の証言を得ようとしており、25日にブラジリアで事情聴取を行なう予定だった。
だがルーラ氏は「連警から呼ばれたらね。今のところ、何の呼び出しも受けていないよ」「マスコミから事情聴取の呼び出しを受けたのは初めてだな」と語り、取材陣の質問をはぐらかした。
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