サンパウロ州では3人の男の子が、アルゼンチンでは認められていない〃メッシ〃という名前を付けられている。その背景を21日付のエスタード紙がリポートした。
メッシ君は父の眼差しに見守られ、ボールを蹴っている。バルセロナのカンプ・ノウスタジアムの話ではない。サンベルナルド・ド・カンポ市のティシェイラ家の廊下での話だ。メッシ君は2010年に生まれ、世界最優秀選手に輝くこと4回の選手の名前をつけられた。「俺はメッシのファンなんだ。W杯の年に生まれた息子に彼の名前をつけようと決めたのさ」と父親のリカルドさんは語った。
自然人登録者協会(Arpen-SP)の過去25年の調査によれば、「サン・ベルナルドのメッシ君」はサンパウロ州に3人いる〃メッシ君〃の一人。残る2人は2011年カンピーナス生まれの子供と、2013年サン・ジョゼ・ド・リオ・プレト生まれの子供だ。
ブラジルで初めて子供にメッシと名付けたトラック運転手のリカルドさんは、セアラー州の内陸部で生まれ、2006年よりサン・ベルナルドで暮している。妻のルシアーナさんは「彼はサッカーが大好きで、性別判定の超音波検査の前日に『もし男の子だったらメッシと名付けたい』って言ったの」と当時を振り返った。
メッシ君の生まれる5年前、リカルドさんは長男にも、アルゼンチンのチーム、ボカ・ジュニオルスの最も偉大な選手の一人、ファン・ロマン・リケルメの名を取ってリケルメと名付けた。「リケルメはリカルドに似てるしね。家には背番号10のアルゼンチン代表のユニホームが2枚あるよ」とリカルドさんは語った。
リカルドさんはメッシ君が将来サッカー選手になることを望んでおり、来年はサッカースクールにも入れるつもりだ。
「俺はサッカー選手になりたかったけど、才能がなくてさ。息子はあると思うんだよね。あと数年後にサン・ベルナルド(サンパウロ州選手権1部)でプレーしているかもしれないだろ?」と語る。
リカルドさんによれば、メッシ君は今年のW杯のTVを見て、メッシのプレーに歓声を上げていたそうだ。メッシ君のお気に入りはフッキだったが、メッシが大会最優秀選手に輝くと、お気に入りもメッシになった。
お隣のアルゼンチンでは状況は全く異なる。今日まで同国南部のリオ・ネグロ州でエクトル・バレーラ氏が同州の市民登録所の特別許可を得て息子にメッシ・ダニエル・バレーラとつけた1件しか起こっていない。
メッシの故郷、ロサリオ市の役場では「メッシ」という名前は認められていない。
同国代表がW杯で準優勝したこともあり、ロサリオ市のあるサンタフェ州市民登録所所長のゴンサロ・カリーショ氏は、多くの新生児の名前の申請を断らねばならなかった。同氏によると、同国では名字をファーストネーム(FN)として登録することは混乱を招くとして法律で禁止されており、アルゼンチン人はW杯で活躍した選手の名前をつけたくても、FNで満足せざるを得ない。
推計では、今年生まれた男の子の10人中2人は、リオネル(又はレオネル)、アンヘル、ゴンサロ、セルヒオ、ハビエルのように、W杯で活躍した同国代表選手のメッシ、ディマリア、イグアイン、アグエロ、マスケラーノのFNを付けられているという。