サンパウロ総合大学東キャンパスで15日、自閉症治療専門家の平雅夫さん(48、大分)が講演会を行い、約30人が参加した。薬物療法が主流の当地において、集団生活や各種作業を通して自閉症児の自立を促す「生活療法」の認知を図るため、同大のユカ・サトウ老年学教授が主催した。
平さんは、同療法を確立した武蔵野東学園で約20年間教員を勤め、現在は障害者向け就労支援施設「ウィズ・ユー」施設長や社会福祉法人「トポスの会」理事など、支援団体の代表を数多く務めている。
援協の運営する自閉症児療育学級「青空学級」(PIPA、井上健治代表)の日本側責任者でもあり、4~15日まで同学級の運営に関する話し合いのため滞伯した。
講演会では自閉症の概要、患者を取り巻く社会環境の変化を説明し、生活療法で症状が軽減した児童達の姿を映像と共に紹介した。13日にも援協で講演会を行い、約200人が参加した。
講演会に参加したルーシネイア・ノゲイラさん(50)は「友人の息子が自閉症なので関心があった。ブラジルの治療は、投薬治療が中心で副作用が心配。生活療法の普及はこの社会に必要だと思う」と感想を語った。
平さんは講演後、「ブラジルは18歳以上の患者に対する支援が足りない。生活療法によって、ある程度社会に適応できるようにならなければ、後で辛い思いをする」と話し、「生活療法を研究対象として取り上げる大学が増えれば、効果も認知され、ブラジルでも広まる可能性が大きくなる」と講演の開催を喜んだ。