18日未明から23日朝まで、夜の間を産院で過ごし、色々な人との出会いを経験した▼夜9時以降の付添いは女性のみと言われて買って出たもので、当たり前と思っていたのにそうではないと気づかされた事も多かった。その一例は「帝王切開の人は回復に時間がかかる」という定説だ▼19日未明に初めての子供を帝王切開で生んだ女性の場合、最初の授乳をしようとした時に新生児が乳首をくわえ難い陥没乳頭の上、母乳が出ず、看護婦を呼んだ。額に汗をにじませて母乳を飲ませようとするのだが、飲めない赤ちゃんは泣き止まない▼初の授乳時、もう少し体を起こせるかと聞いても「帝王切開だから無理」と答えていたこの女性は、コラム子が再び病院に着いた同日夜は病床から立ち上がり、赤ちゃんを抱いていた。彼女は一晩中赤ちゃんを抱いて付添い用の椅子で仮眠、朝になって付添いを交代する時も疲れた顔をほとんど見せなかった。普通分娩の人でも容易ではないのにと驚嘆させられた▼日中は仕事があり、退院するはずの人には朝の交代時に挨拶してから出勤した。4人目の出産で付添いもなく淡々と2日間を過ごし、退院予定日の朝、ご主人らしき男性が来たのを見かけたきりで会えなくなった人もいた▼帝王切開でも2日間で退院する事や、その日のうちに歩き回ったりする事も驚きだったが、母乳が出る事や赤ちゃんがくわえやすい形の乳首である事などは決して当たり前ではないと痛感した日々。病室で会った女性達は「母になる事」と「母である事」は違う事も実感している事だろう。特別に許された絆を大切にし、良き家庭を築いて欲しいと願わされた。(み)