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28日の討論会の様子。フィデリックス氏は左端
28日の討論会の様子。フィデリックス氏は左端

大統領選討論会で同性愛差別=泡沫候補がテレビで暴言連発

 9月28日に行なわれたテレビでの大統領選候補たちによる公開討論会で、候補者のひとりが公然と同性愛差別の発言を展開し、物議を醸している。
 問題発言を行なったのはレヴィ・フィデリックス氏(ブラジル労働者革新党・PRTB)で、その発言は、同じく大統領候補のルシアナ・ジェンロ氏(社会主義自由党・PSOL)から同氏への質問の中で起こった。
 ルシアナ氏は、フィデリックスへの質問で「ブラジルはLGBTの殺人による犠牲者がもっとも多い国だが、なぜ家族の重要性を主張する人たちは同性で家族を持つことを拒否するのでしょうが」と質問した。
 これに対しフィデリックス氏は、「同性愛者は子孫を残すことに貢献しない。そういう人たちが一般の父や祖父たちと同じ選挙権を持つのを私は許せない」と語り、さらに「最近、をローマ法王庁がバチカンの元駐ドミニカ共和国大使の身柄を拘束した話があったが、全くもって正しい」と語った。
 この発言に、急進左派の女性候補であるルシアナ氏が眉をひそめながら「わが国では、こうした同性愛差別はなくす方向にあるのだが」と問いかけると、フィデリックス氏は「もし同性愛者が擁護されるなら、2億人いるブラジルはあっという間に半分になる」と語り、「(同性愛者が集まることで知られるサンパウロの繁華街である)パウリスタ大通りに行って、同性愛者と戦うべきだ」と語り、「精神的な治療をほどこす必要がある」と締めくくった。
 ブラジルの大統領選挙は現在、現職のジウマ氏(労働者党・PT)にマリーナ・シウヴァ氏(ブラジル社会党・PSB)とアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)の争いに争点が当てられているが、この泡沫候補による議論は予期せぬところに降ってわいたものだった。
 フィデリックス氏は90年代からサンパウロ市長や州知事にたえず立候補し続け、有名な人物ではあるが、ほとんどの場合は最下位で終わることでも知られている。
 ブラジルでは昨年、下院の人権委員会委員長に福音派牧師で過去に同性愛や人種差別を行なったことで知られていたマルコ・フェリシアーノ氏(キリスト教社会党・PSC)が就任して物議を醸し、一時期は人権団体が抗議行動のために委員会になだれ込んだと連日のように報道されてもいた。フェリシアーノ氏も「同性愛者に治療を施し、異性愛者になる自由を与える」という内容の法案を提案して問題となったことがあったが、ここまで攻撃的な物言いはなかった。
 このフィデリックス氏の発言直後、LGBT関係のサイトでは強い抗議の声が起こり、その結果、30日午後2時からパウリスタ大通りで、同性愛者が集合してキスをしあうイベント、「ベイジャッソ」が開催されることも急遽決まった。