2007年7月31日付け
世論調査については批判があるけれども、参院選に関しては見事なばかりの正確さである。民主優勢、自民党大敗の予測はきっぱりと的中した。だが、まさか民主60、自民37というほどに敗北するという厳しい見方をした人は少ないのではないか。こんな負け方は、55年の自民党発足から初めてであり、野党が参院で第1党になったのも、これまた初のことである▼安倍政権の人気は低い。政治とカネにまつわる閣僚らの不始末から農相が自殺。久間防衛相は「原爆投下はしょうがない」と発言し辞職に追い込まれたし、安倍総裁誕生に功績のあった論功行賞人事の欠陥があまりにも多く露呈されたのが、大きな敗因と見ていい。年金記録の不備は、必ずしも安倍政権だけの責任ではないけれども、これも自民マイナスに働いたし、大都市と地方の「格差」も大きい▼参院における民主党の力が巨大になるのは当然であり、衆院で与党が可決した法案を否決する事態も起こりうる。参院議長は(これまでの慣習に従えば―)第一党からの議員から選出するのが決まりなので人事の割り振りも新しいものになる。この敗北で自民党の中川秀直幹事長と青木幹雄参議員会長は辞意を表明しているが、この歴史的な大敗であればやむをえない決断だろう▼尤も、安倍首相は続投の方針であり、これが野党との論戦になるのは必至だろうし、最悪の流れとしては衆院解散も視野に入れた方がいい。首相続投論には自民党内にも批判があるし、この参院惨敗によって政局は混乱し大きく揺れ動くのは間違いなく、ここ暫くは日本の政情に目を向けたい。 (遯)