2007年7月25日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】中央銀行は二十三日、六月におけるブラジルへの直接投資が一〇三億一八〇〇万ドルに達し、月間では一九四七年以来の過去最高であると発表した。これは、一カ月で二〇〇三年の一年分を超える金額である。六月は企業買収が集中的に成立し、投資への動機づけになったもの。中銀は〇七年の年間外国投資が、六月までに二〇八億六四〇〇万ドルに達し、年度末までに二五〇億ドルに上るとみている。過去十二カ月でみると、外国投資は三二二億六一〇〇万ドルとなっている。
中銀は六月の直接投資を記録更新の六五億ドルと予測していたので、一〇三億ドルは驚異的な数字である。中銀の市場調査によれば、年間投資が予測で二一五億ドル、よくて二三〇億ドルと踏んでいた。それが、二五〇億ドルへと夢がふくらんできた。
この背景には、グロバリゼーションによる企業再編時代の到来がある。国内においても二〇〇〇年、国営企業の民営化で三二七億七九〇〇万ドルを捻出して以来、〇七年六月は外資の満潮期と考えられる。
ブラジルへの直接投資はしばらくの間、平均で月間二〇億ドルであった。それが六月の一〇三億ドルは、平均を遥かに超えている。七月は二十三日で三〇億ドル、月末で三五億ドルと見込んでいる。
六月にあった企業買収の代表は、インドのミタル製鉄によるアルセロール製鉄の買収である。この取引だけで二八億九三〇〇万ドルが入った。他にはサービス部門で、アイルランドのエックスペリアン・グループによるセラーザ買収の一四億ドルを含む一四億九五〇〇万ドルがある。
金融部門では、一一億一九〇〇万ドル。内容はドイツ銀行が、ウニバンコへ四億九四〇〇万ドルつぎ込んで資本参加したこと。外国企業によるブラジル企業の買収や新規参入は、攻勢の一途にある。金額では鉄鋼ほど大きくないが、ブラジル企業の様変わりは時代の変遷といえそうだ。
企業買収ばかりでなく外資系企業の新規参入は、合弁合資による経営参加よりも数の上ではるかに多い。これは、ブラジル経済の基本条件が外国から認められた証拠といえる。
低率インフレと基本金利の引き下げ、安定経済と投資リスクの低減は、外資系企業がブラジルの将来性に白羽の矢を立てたのだ。これからは、ブラジルの企業合併に拍車がかかる。
これは、ブラジル買収の予兆という見方もできる。ブラジルは、国際金融の最重要な四つの試験に合格したのだ。国際社会に向けたブラジル経済の対応、抑制されたインフレ、一五三三億ドルの外貨準備、経済成長率四・五%である。ブラジルへの投資は予想されていたが、月間一〇三億ドルは歴史的出来事だ。
ミタル製鉄のアルセロール製鉄買収は、イワシがクジラを呑み込むようなもの。世界一の座に安住していた企業が王手を掛けられる時代だ。これは時代の激変であり、ナンデモアリの時代といえる。価値観が、新旧交代したのだ。