2007年7月25日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月三十日】ルーラ大統領は二十九日、産業界や国税庁の反対を押し切って、パラグアイから商品を運ぶかつぎ屋に関する暫定令三八〇号を制定した。国税庁は過去二年間密輸を厳しく取り締まったため、パラグアイ政府はブラジル人に入国制限を課するなど報復措置に出ていた。
多くのブラジル人がパラグアイ領内で農業や企業経営に携わっているので、両国の措置は外交問題に発展したようだ。国境近くのブラジル側都市の市長らは、国税庁の措置が地域経済へ甚大な損害を及ぼすと陳情したことに、政府が応えたものと伺える。
政府は輸入税に単一税制を導入し、かつぎ屋を合法化した。かつぎ屋は零細企業(ME)の開業手続きを行い、登録する。これまでの輸入税とIPI(物品税)、PIS(社会統合基金)、Cofins(社会保険引当金)を単一税として当初二五%を払い、上限を四二・二五%とする。
かつぎ屋の仕入れ上限は当初、年間一二万レアルから一五万レアルとする。その後、暫時二四万レアルまで引き揚げる。支払方法は単一税の当座勘定を開き、前払い方式とする。財務省は後日、輸入商品の数量制限を発表する。暫定令は九十日以内に発効する。
かつぎ屋が仕入れた商品は小売りに限る。商品によっては州政府が連邦政府との協定により、ICMSを徴収する。輸入禁止商品は、花火と火薬、武器、ダイナマイト、アルコール飲料、煙草、車両、船舶、薬品、タイヤ、以上に伴う付属品などとある。
かつぎ屋合法化の目的は、密輸を防ぎ企業経営を学ぶことにある。二五%の単一税は、かつぎ屋を優遇するので、大挙新かつぎ屋が続出すると当局は予想している。税率は正規輸入業者と同率であるが、手続きが簡単なので市場への流通が早く容易である。
国税庁はかつぎ屋の合法化と同時に、海賊版の流入も激増するものとみている。国税庁は同暫定令の制定が、セーラ・ペラーダをパラグアイ国境へ移動するもので不満だが、引き続き模造品や海賊版の持ち込みを監視する。同暫定令を悪用する業者も多数、同地域進出が予想される。
中国や東南アジアの製品密輸も、大規模化するものと思われる。国際的密輸組織の進出と南米地域へのネットワーク構築も、予想に難くない。零細企業登録をしないかつぎ屋は三〇〇ドル以下を看過されるが、それを越すと五〇%課税となるらしい。