2007年7月24日付け
第十回県連・日本祭りで異彩を放ったのは初めての農業関連展示と、過去最高の参加数を誇った県人会の活躍だ。
「テイシェイラ(バイーア州)からサンジョアキン(サンタカタリーナ州)まで、みんなが協力してくれた」。全伯の会員から生産物を取り寄せて農産展覧会を行ったコチア青年連絡協議会の山下治会長は、初参加の感想をそう語った。県連からの参加要請に最初は躊躇する声もあったが、結果的には「むしろ団結が強まった」と感じている。
コチア青年は今まで、入植した各地ごとに大規模な農産品展を行ってきたが、今回のように全伯から農産物を一カ所に集めて行うのは初めて。
遠くはバイーア州のテイシェイラ・ダ・フレイタスのマモン、サンタカタリーナ州サンジョアキンのリンゴ、ミナス州のサンゴタルドのコーヒーや大豆、トゥルボランジア、さらにサンパウロ州内ではカンピーナス、イビウナ、イタペチ、カウカイアなど各地から自慢の産品が届いた。ダチョウの卵も二十レアルで販売され土曜には売り切れた。
山下会長に初参加の売上げを問うと「赤字にはならんよ」と笑った。「来年は百周年。もっと盛大にやりたいね、なんて声がさっそく出ていたよ」と微笑む。
県連の加藤恵久実行委員長は長年、コチアの蔬菜部長を務めてきた経験から、「ぜひとも日系人の農業面での貢献を日本祭りで表現したかった」と参加要請した動機を説明する。アチバイアの「花といちご祭り」の有名な菊人形などの展示も会場には並べられ、グローボTVはそこからニュースを伝えた。
「日本移民=多大な農業面での貢献」が分かりやすく紹介され、県人会の枠を超えた、より多面的な日本移民や日系社会を紹介する展示になっていた。
岩手県人会の千田曠曉会長は「予想以上です。売上げは去年の三倍ちかくあるのでは」と二十二日晩、手応えを語った。天気がいいと売れないのではと心配された「うどん」が日曜午後二時には六百食すべて売り切れた。餃子も九百食。連日二十人体勢で作ったが、列ができるほどだった。「普段の会計が赤字なんで、やっと一息です」とほっとした表情を浮かべた。
大分県人会も干し柿八百パックを完売し、牛タタキ約十八キロも日曜午後三時には売り切れ。名物のトリメシも八百食ぐらい売れた。「去年より売れてる」と同会の伊東信比古さんはいう。
一方、サンパウロ日伯援護協会の自閉症児学級支援グループ青空の売店は、二十二日午前十一時半ごろ、突風で屋根が落ちかかる騒ぎがあり、消防員五人が屋根を支えて修理し、約二時間にわたって営業ができない災難があった。
「焼き鳥が売れ残ったらどうしよう」と前の晩眠れなかったという佐々木憲輔さんは「せっかく列ができていたのに」とその時のことを残念がる。「でも、その後、結局は全部売り切れた。悪いことの後には良いこともある」。最終的には二千本全部売れた。援協副会長の菊池義治さんも「うちのグループはできたばかりだが、みんな一生懸命働いてくれた」と満足そうに見回した。