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「よみがえれ!日本の心」=コンサートで森敬恵さんら熱く訴え

2007年7月18日付け

 移民百周年記念前夜祭「よみがえれ!日本の心コンサート」。ブラジル日本会議(上野アントニオ会長)は、日本を代表するソプラノ歌手、二期会会員の森敬恵さん、吉川健一さん、長谷川忍さんを特別に招き、初のブラジル・コンサートを実現させた。
 三人は九日に着伯、イグアスー市、マリンガ市、憩の園と巡回。十五日午後一時半、文協大講堂の舞台に立った。会場は、開演前からすでに満席で立ち見がでるほどの混雑であった。
 来賓は、西林万寿夫在サンパウロ日本国総領事夫妻、西田和正国際交流基金所長、上原幸啓ブラジル日本移民百周年記念協会会長、相田祐弘憩の園副会長ら。
 中野晃冶実行委員長は「今回ブラジルでコンサートを開催できたことを感謝する。普通の歌ではなく、心の歌で心というものを改めて考えてほしい」とあいさつ。
 小森広ブラジル日本会議理事長は「約二年前から計画していたことが、実現できたことが喜ばしい。このコンサートがブラジルと日本の何か良いきっかけになれば」と述べた。
 舞台に三人が着物姿で登場し「さくら」「夏の思い出」「里の秋」「冬の景色」と四季の歌を歌い始め、聴衆の間から一気に拍手と歓声が沸きあがった。目を瞑ったり、手拍子とったり、また一緒に口ずさみ、涙を流す人も見られた。
 森さんは、ふだんから「よみがえれ、日本の心」を強調し、心の育成に力を入れている。「今、日本が変わってきている。なぜ子供たちが凶悪な犯罪に走るのか。私は心の教育が大事だと思っている。ブラジルには暖かい心を持った人たちや、昔の日本が残っている。この心をぜひ日本に伝えたい」と述べた。聴衆は三人の一言一言力強い発言に拍手を贈った。休憩を挟み、友情出演や東京都友会会員らが軍歌を歌った。
 最後のプログラムになると、舞台に上がる観客と、森さんが舞台から降りてマイクを向けて一緒に歌う姿も見られた。アンコールの声もあがり、会場全体で熱唱するほどの大盛況。
 終演後に森さんらが出口で見送り、サインや写真を取る人で混雑した。その中で森さんに声をかけた一人が、二年前に皇居勤労奉仕団で一緒に掃除したという人だった。互いに「懐かしい」と二年ぶりの再会を喜んだ。
 抽選会も行われ、賞品のテレビが手渡された。来場した吉見大輔さん(81)は「歌や話を聴いて、心の大切さを改めて感じた。若い世代に伝えていくのは、私たちの役割。私たちが取り組まないと何も変わらない」と話した。
 最後に森さんは「日本より日本だと感じた。ここには人間の輪がある。来年は移民百周年でコンサートをしたい」とコメント。
 その後、午後五時から歌のセミナーが行われ、約五十人が参加した。三人は、十八日にパンアメリカン大会で公演したあと、十九日に帰国する予定。