2007年7月18日付け
ロンドリーナ市に日系人団体「パラナ平和友の会」がある。今年創立十周年を迎えた。当初、日本のさきの大戦に関係した人たちの平和祈念と親睦の団体だったが、その後、「来る者拒まず」で、会の趣旨に賛同する人ならだれでも迎え入れる団体となった。戦時にビルマのインパール作戦に従軍した人が会長をつとめたこともあった▼コロニアで「せんぼつしゃ」といえば、大抵の場合「先没者」である。先没者のことは「開拓先亡者」ともいう。ところが、この友の会がいう「せんぼつしゃ」は、初め「戦没者」であった。いま、集いの際、黙祷の対象になるのは「戦没者」と「先没者」だ▼十周年記念式典での会長あいさつの中で「この十年間に亡くなった人は十八人」と述べた個所があった。高齢の人たちの集まりであることがわかる。親睦ピクニックをすると、参加者が数十人の会で、これほどの物故者がある。新規会員入会に門を広く開けていても、会員数はめざましく増えはしないだろう▼しかし、会の雰囲気はいささかも湿っぽくない。会には、平和祈念と親睦のほかに、出色の事業があるのだ。桜の苗木を育て、各所に配っている。すでに三千本。配ったあとの面倒見がいいのも特徴だ。だから、私たちの苗木は順調に育っている。と声を大にできる▼平和を祈念するのが会の理念で、その象徴が桜だという確信があるから、事後もおろそかにしないのだ。苗木づくりは、会が存続するかぎり続けられそうである。(神)