2007年7月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】サンパウロ市内のファべラ(スラム)の住人は四〇万世帯の一六〇万人から二〇〇万人に達し、人口の六人に一人はファべラ暮らしとなっている。この数はパラナ州郡のクリチバ市の人口の一七八万人に匹敵するものとなっている。四年前は二九万世帯の約一三〇万人だったことから、三八%の増加となった。
サンパウロ市当局が将来の都市整備計画の目的で、世銀の資金援助と国際NGO団体の協力のもとに四年ぶりに調査を行った。それによると、ファべラは一五三八カ所存在し、総面積は三〇キロ平米に及ぶ。一九八七年の調査報告では二〇一八カ所となっているが、調査グループによると、ファべラが膨張し合併する形で統合されたことで実数が減少したもので、ファべラそのものが消滅したわけではないと分析している。逆にファべラの前身となる集落住居は雨後のタケノコの如く増えている。ファべラ住民が増加した原因として、住居難と貧困が根底にあるものの、必ずしも全てに当てはまらないと指摘している。ファべラ住民は親や祖父から受け継いだ二世代、三世代目が多く、生まれ育った場所に愛着があり転居を拒否する人が多分にある。中には市当局が二度も撤去したにもかかわらず、住民が舞い戻ったファべラもある。
ファべラのランキングを挙げると、最大が南部サコマン区のエリオポリスで二万世帯が居住している。最小がサンタナ区のバルザンで一家族のみ。最も整備されているのが西部ピリトゥバ区のマリリザで定期的にゴミの回収も行われている。逆に劣悪なのがラッパ区のハダッジで水道も街灯もない。裕福なのがモルンビー区のジャルジン・コロンボで月収一〇〇〇レアルの家長もいる。通常ファべラの家族収入平均は四四七レアルとなっている。
当局の現在の懸念材料となっているのがマルジルナル大通り沿いの新興ファべラだ。チエテとピニェイロスの橋の下や道路脇に一九ヵ所のファべラが存在し、拡大する勢いを見せている。住居の前と車やトラックがスピードを上げて走行するためハネられて死亡する人が急増している。また犬などが飛び出して事故につながるケースも増えている。さらに車を襲う強盗犯が逃げ込む格好の場所となることで犯罪も増えて危険地帯となっている。