2007年7月7日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月三十日】青少年の暴走による犯罪が多発する中で、その防犯対策の一環として犯罪の原因となる飲酒規制が実行されているにもかかわらず、未成年者がアルコール飲料を易く何の抵抗もなく購入できる実態が明るみに出た。サンパウロ連邦大学(UNIFESP)が試験的に二市で調査した結果、酒類を販売している商店やバールなどの八〇%以上が未成年者に販売していた。同大学ではこれが全国的傾向だと位置づけている。
サンパウロ市ではカサビサンパウロ市長が発令した市条例により、未成年者へのアルコール飲料販売が禁止されている。違反者は罰金四五〇〇レアルが科せられ、二度目の摘発では倍になる、三度目は営業停止処分となる。
酒類の販売禁止は商店のほか、バールやレストランも含まれ、露天商(カメロー)も対象となっている。しかし実態は、順守されている気配は見られず、スーパーなどでは酒類を買い求めた若者らが駐車場や路上で回し飲みしている姿をよく見かける。
サンパウロ連邦大学ではこの程、サンパウロ州パウリニア市とジアデーマ市で十三歳から十七歳までの若者に実際にアルコール飲料を販売各所で買わせる実験を行った。対象となったのは五六八店で前者が一〇八店、後者が四六〇店。
その結果、前者で八五・二%、後者で八二・四%の酒類販売店で何の支障もなく購入できた。実験協力者には年齢は隠さず正直に言うことと、酒類は自分が飲むものだと答えるように予め指導していたが、ほとんどが何の質問も受けなかった。
国内では一九九〇年に未成年に対する酒類販売禁止法令が施行されているが、同大学によると、取締りがほとんどされず野放しの状態となっていることで、罪の意識が浸透していないとみている。それ故に売り手側は商業主義に徹しているという。前出の二市では未成年者の年齢を問い質した売り手もあった。両市とも三〇・五%の売り手が未成年と気づきながらも、パウリニア市では五〇・五%、ジアデーマ市では四二・三%が酒類を販売した。
調査に出向いた未成年者らの報告によると、売り手が男性で、しかも三十歳以下の年齢(と思われる)が容易に販売するが、三十歳以上だと厳しい目を向けてきたという。高齢者の店主の場合は販売を拒否された。
関係者によると、酒類の販売が伸び悩みとなっている現状で、飲料業界は若者をターゲットとして攻勢を強めていることから、若者の〃アルコール党〃が今後増える傾向にあるとみている。