2007年7月5日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】ベネズエラのチャベス大統領は三日、ブラジルとパラグアイ議会が三カ月以内にベネズエラのメルコスル(南米南部共同市場)加盟を承認しないならば、ベネズエラに対する蔑視であり自国の尊厳を守るため加盟を断念すると通告した。ブラジルとベネズエラ両政府は、エネルギー対策と南米地域の経済発展で協力関係を期待していたが、チャベス大統領は、ブラジル議会は米議会の操り人形だと批判していた。ロウセフ官房長官は同通告に対し、政府は誰からも期限付き通告を受ける理由はないし、他へ期限を押しつける意向もないと声明を発表した。
チャベス大統領の通告は、メルコスルのシステムを改革するために内心では加盟を希望するルーラ大統領への間接的な勧告ともいえる。メルコスル模様替えのために登場するチャベス大統領の花道をルーラ大統領は準備せよという暗示らしい。
チャベス大統領の本音は加盟断念など毛頭ない。ベネズエラ加盟のためにメルコスルは体質改善を行えという考えらしい。チャベス大統領は九月まで待つと通告し、ブラジル・パラグアイ両国議会は、ベネズエラ加盟を拒絶する政治的理由も地域経済を発展させる気力もないと批判。同大統領は、議会に活を入れるため、第二案も用意したという。
チャベス大統領の見方では、ベネズエラ政府による自国企業保護政策をけん制するため、ブラジル財界が議会へ圧力を掛けたという。同大統領はベネズエラ市場にブラジルや欧米の企業が参入しても、自国産業を孤児のように放置しないと保障した。
もしベネズエラがメルコスル加盟を断念するなら、ブラジルのベネズエラ向け輸出の二九億七三〇〇万ドルはないと警告。アルゼンチンとウルグアイは同国加盟を承認したので、ボールはブラジルの足元に置かれているという。
ブラジルは二〇〇六年七月四日、カラカス協定でベネズエラのメルコスル加盟を内諾した。しかし、その後ブラジル議会は、米議会の操り人形と呼ばれたことで心証を害した。アモリン外相はチャベス大統領に対し、ブラジル議会へ謝罪するよう要求した。
謝罪するのは、ベネズエラの報道管制で内政干渉を犯したブラジル議会だと同大統領は反駁。ベネズエラのメルコスル加盟を切望するのは、ブラジルであってベネズエラではない。メルコスルは破産前夜にあり、時代の波に乗れないメルコスルに同国は関心がないという。
ベネズエラが関心を持つのは、新メルコスルである。そのためには理不尽な資本主義の亡者である加盟国首脳の頭から構造改革をする必要があると、チャベス大統領は述べた。現状のメルコスル加盟は、ベネズエラにとって自殺行為であり、市場開放はできない。そのような愚行はしないと同国民へ向けて公言した。メルコスル議会のコンデ議長は、チャベス通告を審議するため次回開会の八月を前倒しで召集した。