2007年6月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日、二十五日】青少年の犯罪が多発して社会問題となっている中で、サンパウロ市とリオデジャネイロ市で相次いで富裕階層の子弟が暴力事件を起こして逮捕された。これら若者らの理由のない暴走ぶりが非難される中で、保護者らがお定まりの「うちの子に限って」と口に出しながら身柄釈放に向けて躍起となっている姿が浮き彫りとなった。
事件その一。サンパウロ市都心部のコンソラソン通りとロレナ街の角のバールで二十二日午後九時半ごろ、十人以上の若者集団が乱入して客に暴力を奮うなどの狼籍を働いた。この騒動で客として仲間と一杯飲んでいた十九歳の男性が一味の一人にナイフで刺され、収容先のクリニカ病院で死亡した。
男性はレストランの給仕係で、仕事がハネてから一杯飲むのを常としていた。男性の仲間の証言によると、一味はバールに乱入し見境いなく暴力を振るい、飲み物のビンを投げつけるなどの狼藉ぶりで、ビン類は店内で雨の様に飛び交ったという。
死亡した男性は危険を感じて逃げ出したが二人に跡を追われ、そのうちの一人にナイフで刺された。証言によると一味は目の前にいる誰かれ構わずに暴力を振るう有様だったという。
警察は未成年者四人を含む計八人を逮捕したが、刺殺犯は逃亡したため、身許を割り出して行方を追っている。当局は一味をパンク族と呼ばれる集団と断定、余罪を追及している。この集団は都心の高級マンションに住む富裕層の子弟らで、ディスコなどにタムロして集団で暴力ざたを度々引き起こしていたことで警察でもマークしていた。
事件現場の同区では今月十日、ゲイパレードが終了した後にフランス人観光客が複数の男らにナイフで刺されて死亡するという事件が発生しており、警察はパンク族の仕業の可能性が高いとみているものの、いまだに確証をつかんでいない。
事件その二。リオデジャネイロ市バーラ・ダ・チジュカ区で二十三日午前五時ごろ、バス停にいた家政婦(32)が五人の大学生グループに殴る蹴るの暴行を受け、ハンドバッグを強奪された。
家政婦は近所のマンションに住み込みで働いており、当日は病院に行くためバス待ちをしていた。そこへゴール車に乗った五人組が通りかかり犯行に及んだ。女性は辛うじて勤務先のマンションに逃げ込み守衛に保護された。
たまたま通りかかったタクシーが犯行を目撃し、ゴール車のナンバーを警察に通報したことで五人組は逮捕された。同区は高級住宅街として知られており、犯人らはいずれもそこの住人だった。主犯でゴールの持ち主は法科の大学生で、警察の取調べに対し、女性を売春婦と思い、こらしめに暴力を振るったと語った。