ホーム | コラム | 竹内香苗のブラジルだより | パウロ・コエーリョを原語で読む!

パウロ・コエーリョを原語で読む!

 サッカーのペレ、F1のアイルトン・セナ、建築家オスカー・ニーマイヤー、スーパーモデルのジゼル・ブンチェン・・・世界に名の知れたブラジル出身の偉人はたくさんいます。作詞家、小説家のパウロ・コエーリョもその一人。私が初めて読んだブラジル人作家によるポルトガル語の本は、パウロ・コエーリョの作品でした。
 1947年にリオデジャネイロで産まれたパウロ・コエーリョは、大学の法学部を中退し、3年かけて世界各地を旅します。そしてブラジルに戻った後、作詞家として成功を収め、1974年に反政府運動の疑いで投獄されますが、出獄後はレコード制作に携わります。5年後、再び世界を巡る旅へ。この旅での出会いや出来後が作家としての基盤となったそうです。
 私が初めて読んだのはパウロ・コエーリョ2作目の作品『O Alchemista(アルケミスト 夢を旅した少年)』。出版された1988年にブラジル国内で20万冊を超える大ベストセラーとなり、フランスやイタリア、アメリカなどでも何度もベストセラーランキングで1位を獲得。各国で文学賞を受賞しています。

本を手に

本を手に

 ブラジルに来て間もない頃、1日3ページずつ読めばおよそ3ヶ月で読み終わる計算で、万里の道も一歩からと辞書を片手に読み始めたのでした。最初はほとんどの単語を調べながら。

 羊飼いの少年サンチャゴが、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドを目指す旅を通して人生の知恵を学ぶという物語。元々はポルトガル語勉強のモチベーションを上げるために始めたのですが、エキゾチックで神秘的な物語の面白さにすっかり魅了され、毎日の読書タイムが楽しみになりました。
 人生の何かを変えたい時、新しいことを始めるのに恐れや躊躇する気持ちがある時、この本で語られたエピソードを思い出します。私にとって、とても想い出深い作品となりました。角川文庫より日本語版も出版されています。

プロフィール

竹内 香苗(たけうち かなえ)。愛知県出身のフリーアナウンサー。約10年間過ごしたTBSでは『はなまるマーケット』『朝ズバッ!』などに出演。夫のブラジル赴任に伴い12年に同局を退社し、ホリプロに所属。同年11月よりサンパウロ市に滞在している。