ブラジルを代表する鉄鋼会社の一つであるミナスジェライス製鉄所(通称ウジミナス)が、9月25日に社長ならびに2人の理事を罷免し、市場に動揺が広がっている。
9月27日付ならびに10月1日付エスタード紙によれば、9月25日に開催された経営審議会で罷免となったのは、フリアン・エグレン社長と子会社担当のパオロ・バセッチ理事、産業担当のマルセロ・シャラ理事の3人だ。
ウジミナスは1958年創業の鉄鋼会社で、2006年12月に日本の鉄鋼メーカー、新日本製鉄(新日鉄)が筆頭株主だった日本ウジミナス(株)の株式を追加取得して子会社化。現在の新日鉄は29・45%の株を持つ筆頭株主で、経営審議会にも3人を送り込んでいる。
ところが、その新日鉄が、2011年の末に50億レアルを投じてヴォトランチン、カマルゴ・コレア、ウジミナス職員金庫(CEU)の株を買い取り、持ち株比率27・66%というテルニウンが指名したアルゼンチン人の経営陣3人を罷免したのだ。
もちろん、経営陣の罷免はテルニウン側からも3人が参加している経営審議会で諮られており、5対5となった時点で審議会議長のパウロ・ペニド氏が罷免に賛同する票を投じた事によって罷免が決まった。
エグレン社長は2012年1月に就任。以来、鉄鋼業界を巡る世界的な危機を乗り切るために多大な努力を払い、業績を改善してきた。
だが、新日鉄とテルニウンの間には少なくとも5カ月前くらいから亀裂が生じていたとされ、9月25日の経営審議会でも、新日鉄側が罷免された経営陣3人には他のメンバー以上のボーナスなどが払われていたと指摘したという。
エグレン社長の後任には、技術と品質担当副社長で新日鉄と繋がりが深いロメル・エルウィン・デ・ソウザ氏が暫定的に任命されたが、一部の関係者は、新日鉄側が不正だと指摘した項目は罷免を正当化するための隠れ蓑に過ぎないと指摘。
小口株主らは、新日鉄とテルニウンの決裂は経営上のリスクが存在する事を示しているとしており、ウジミナスの支配会社でもある2大株主の対立が同社の分割などにつながる事を懸念する声も出ている。
経営陣3人の罷免で2大株主間の対立が鮮明になった事で、同社の表決権なしの優先A株(PNA)は9月29日に6・6レアル、30日も6・34レアルにと連続して値下がり。9月26日以降の株価は既に11%下落している。
テルニウン側は経営陣3人を罷免した経営審議会の判断を無効とするようミナス州の司法当局に訴えており、3日か6日に判決が出る見込みだ。