2007年6月26日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】サイトウ空軍総司令官は二十四日、九カ月にわたった航空管制トラブルを解決するため、管制官幹部十四人を更迭、非常時体制を敷いて学校休暇の始まる前の管制システム復旧を指令した。官庁や企業の営業日で搭乗者が急増する二十五日は、システム正常化のテストに最適とみている。休暇入りを翌日に控えた三十日は搭乗ラッシュが予想され、多少の遅延は免れないものの、管制体制の強化に磐石を期している。しかし、空軍の強硬姿勢に対し、裁判所がどう反応するか注目されている。
空軍が非常時体制を敷いた二十二日、離着陸の遅延は五・一%に留まり、航空管制の標準規定は機動性が立証されたと、空軍司令部は発表した。官民機関の営業日で航空機の離着陸が集中する二十五日は、管制テストに最適の条件とみられている。管制機器の不具合などを急きょ点検し、ラッシュに備えるという。
更迭された幹部要員十四人は、管制トラブルの原因は旧型機器にあるとしていた。しかし、空軍は機器が十分作動し、性能は管制操作に耐えると反論し、更迭された管制官の技量不足を指摘した。非常召集を受けた予備役の管制官は、戦闘機の管制は熟練しているが、民間機は初めてらしい。
予備役といえども、航空管制のベテランである。戦闘機一四機までの同時離着陸はお手のものだ。離陸の遅れや欠航で管制トラブルに至ったのは、管制官が新人ばかりで、経験不足が原因だと司令部はいう。
空軍司令部は、裁判所の出方を見守っている。全ての司令部命令に反応はつきものだ。更迭された十四人のうち、一人は営倉へ入った。裁判所が同措置に対し、空軍を諌めるか。営倉服役中の士官に人身保護令を適用し、仮釈放とするか。もしも仮釈放となれば、裁判所は軍の秩序を乱したことになり、軍事法廷が動き出す可能性がある。
非常時体制を敷いた二十二日以来、サイトウ司令官は司令部に泊り込みでことの経緯を見守っている。責任者の営倉送りで事態を収拾し、第一関門は無事通過した。ハードルは多数あるから気を抜かないよう司令官が指示した。
軍律によれば、軍人は労働時間の規定がなく責任遂行だけを求められる。航空管制官は毎朝交代するが、時間による交代ではなく、責任単位での交代を意味する。場合によっては昼夜兼行もあり得る。責任遂行ができないのは戦線離脱であり、軍律違反だ。
ルーラ大統領は、空軍の非常時体制と四十八時間の経過報告を受け、満足の意を表した。空港パニックは九カ月前からあった。ブエーノ前司令官は一時しのぎで間に合わせ、根本的な解決をしなかった。新任で不言実行のサイトウ新司令官が、非常時体制という灸を据えた。空軍がBプランを携えて事に臨んだことを、大統領は賞賛した。
空軍は二十五日、トゥブロン作戦を展開する。まず首都とサンパウロ市間の空路を空のアウトバーンとし、その他をバイパスとする。これで八〇%の空便は完全掌握できる。トゥブロン作戦は、リオ・サンパウロ市間で有効性が立証されている。