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マフィアのボスの横顔=公共工事予算を欲しいまま

2007年6月20日付け

 【ヴェージャ誌二〇一〇号】連邦警察の盗聴記録から拾った公共工事マフィアのボス、ズレイド・ヴェラスの横顔を追ってみた。勇猛で行動力抜群、何をしてもシッポをつかまれることはない。カミソリ作戦は、公共工事の予算交付を欲しいままにするズレイドの犯罪王国に挑戦を試みた。
 北東部の六州にまたがって四省庁を手玉にとり、ついには鉱動相を辞任に追い込んだ。どのような手口で地方自治体に潜り込み、公共工事マフィアを築いたのか。まず政治家からリベートの話が持ち込まれる。それからロビイストが話のお膳立てをし、弁護士が環境整備を行う。
 その次は、判事買収や政治家による予算案補足令の承認、公務員の抱き込みで汚職の構造が出来上がる。
まるで鴨がネギを背負って来るようだ。ズレイドのガウタマ建設会社は、工事の請負費用だけ受け取る。工事は完成せずに放置する。それでいて、工事を次々落札する。
 ガウタマの社名は、釈迦の苗字から取ったのだそうだ。現世が幻想とはいえ、物質からの解放が公金横領で、不正取引も幻想のうちとは釈迦が迷惑ではないか。ズレイドのガウタマ建設は、政治家の不正取引における受け皿という。ズレイドは無数のアンテナを張って、美味しい情報をキャッチしていた。
 会計検査院(TCU)に、共営者ファッチマ・パウメイラの従兄弟ギリェルメ・パウメイラをエージェントとして送っていた。TCUの情報は筒抜けだ。ズレイドは予算委員会のメンバーを洗い上げ、シッポを握っていた。予算交付に関る公務員を全て買収し、駒は揃っていた。
 盗聴記録によれば、リベートの誤算や上納先の間違いで、組織内の争いがしばしばあった。州知事や省庁高官は、側近から遂次報告を受け、次の段取りを指示した。下手人は側近らで、大物は関知しないことになっているが、指南をした。カミソリ作戦で一網打尽に拘束されたのは、下っ端の連中だけ。