2007年6月15日付け
ポルトアレグレの樋渡家の誇りは、斎藤準一ブラジル空軍総司令官と親戚のような付き合いがあることだ。さきに航空管制官の処分問題が生じたとき、大統領の意向に対し是々非々で臨み、軍人の筋を通して、大方の支持を得たことを日系人としてすばらしいと思っている▼樋渡家の自己紹介によると、同家は総司令官とはブラジルにおけるパトリシオである。総司令官は佐官で四十代の頃、RS州カノアス空軍基地の司令官をしていた。日本国総領事主催の祝宴があって、そこで樋渡睦雄さんが司令官と言葉をかわしたのが、付き合いの発端だった▼樋渡さん家族は三六年、現在のポンペイアに入植してカフェ園で苦労、のち自営で棉つくりをした。そこは司令官が生まれ育った所だった。樋渡さんはほぼ〃パパイ〃の年代に当るとみていいだろう。当時パパイは、ポルトアレグレ老人クラブの会長。クラブ員たちに、戦闘機を見せてほしい、と申し入れた▼快諾があり、戦闘機見学のあと、将校たちも接待に出、シュラスコまでごちそうしてくれた。クラブ員たちは寿司やおにぎりを持参していたので、食べ合って楽しい時間を過ごしたそうだ。その後も睦雄さんが航空基地の行事に必ず招かれるなど、交際は司令官がリオの空軍管区司令官に栄転するまで続けられた▼〇一年樋渡家の渡伯六十五周年記念祝いの時、夫妻で南に飛んできた。もう親戚以上である。実れば頭を垂れる稲穂のような人柄もまた日系人の誇りだというあたりもいい。(神)