2007年6月12日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】連邦警察は十日、王手作戦の捜査をルーラ大統領と代父関係にある拘束中の労働者党(PT)党員ダリオ・モレリ容疑者に集中すると発表した。同容疑者はスロットマシン・マフィアの主犯とされるセルヴォ容疑者の右腕と目され、マット・グロッソ・ド・スル州カンポ・グランデ刑務所に拘束されている。大統領の実兄を同マフィアへ誘ったのは、モレリ容疑者とみられる。実兄の弁護士が、実兄は無学でマフィアのロビイストが務まるような能力はないと弁護した。
連警は、ジアデーマ市水道局長のPT党員ダリオ・モレリ容疑者の未決拘留を申請し、集中捜査を行うという。連警のラセルダ長官は、同容疑者がマフィアの中で予想以上の重要な役割を果たし、組織で采配を振るっていたとみている。
容疑のある実兄は無知な道化者とされ、拘束の必要はないらしい。盗聴記録から浮上した実兄像は、重要人物のように見せかけられ、無賃乗車された「裸足のロビイスト」という感じである。実兄は状況判断ができない人間だから、多くを知らせないように主犯から口止めされていた。
主犯セルヴォと共営者モレリは、犯罪組織のシステムを立ち上げた。二人はスロットマシンを中心に、派生産業へも手を広げた。二人の会話では、実兄は人がよくて口が軽く、大きな取引に不向きであると認識されていた。
実兄の子息と弁護士は、実兄が組織のために口利きをするような能力はないし、政府機能についての知識は全くないと否定した。盗聴記録の機械に関する会話は、実兄がブルドーザーとスロットマシンを勘違いしたもので、便宜の仲介ではないと反論した。
実兄の名が出た部分は、整地の請負かスロットマシンの仲介か意味不明だと弁護士が抗弁をした。実兄の代理人という人物についても、司法守秘により身元確認が不可能であると弁護士はいう。実兄がリナウドという人物に二〇〇〇レアルを無心し、ブラジリアへ出張した部分については説明がない。実兄は首都に不案内で、首都へ再々行くほど生活のゆとりはなかったようだ。
また主犯とモレリ容疑者へ、連警の盗聴と拘束手続き中であることを事前に知らせた容疑で、連警は本部のブランドン刑事を告発した。他に王手作戦で拘束されたアンドラーデ容疑者とリベイロ容疑者への情報漏洩は十九日に確認された。
これで王手作戦の情報漏洩により、部長刑事三人が更迭された。大統領の実兄が捜査線上に浮上したことで、大統領周辺や犯罪組織へ極秘連絡があったことは否定できない。
モレリ容疑者の資産が、二〇〇五年の三二万レアルから〇六年には六六万レアルへと倍増したことも捜査の対象となる。ルーラ大統領が政権を獲得した〇三年は同容疑者の収入が二万レアル、資産は一七万六〇〇〇レアルに過ぎなかった。
同容疑者は、セルヴォ容疑者のラランジャ(名義賃貸)で数々のビンゴ店を預かっている。取締官の懐柔も同容疑者の役目であった。大統領選があった〇二年、同容疑者はメルカダンテ上議の配車係りと大統領警備員であった。大統領の実兄は、生活費にも乏しく資産状態は悪い。