2007年6月12日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】鉄道輸送の整備の重要性が叫ばれているにもかかわらず、空しく数年がいたずらに経過した中で、ようやくにしてプロジェクト実現の兆しが見えてきた。サンパウロ州ではこのほど、二大案件といわれる鉄道整備網が着工する運びとなった。
この案件は、MRS輸送が主導するプロジェクトで、五年前に事業計画を打ち出してサンパウロ州環境保全機関が三年の審議を経てこの程予備許可が下りたもの。一つはミナス・ジェライス州の鉱山から貸車で鉄鉱石をサント・アンドレ市まで運び、そこからクバトン市のコジッパ製鉄所までベルト・コンベアーで輸送するもの。
もう一つはサントス港までの貸車乗入れを増設するもの。鉄道環状線と呼ばれるもので、主に農産物の輸送を目的としたもので、現在トラック輸送に頼っているため渋滞の極みとなっているのを緩和する。渋滞や積み出しの遅れでコストがかかり、このために国際競争力を失う原因ともなっている。
この両プロジェクトは総額一二億レアルの予算が見積られており、MRS社では年末までに入札でコンソーシアムを結成し、着工後二十二カ月間で完工したいとの意向を示している。これにより一〇〇〇万トンの輸送能力の引き上げができるとしている。サントス港は全国の二六%の輸出積出し港となっているが、これにより一二%の能力アップとなる。
これまではコジッパ製鉄所向け輸送は鉱石原産地から六日を要したのが、半減の三日となる。また環状線による輸送は、これまでパウリスタ鉄道の乗客輸送に連結していることから、数量制限や時間制限があって、輸送がままにならなかったが、これを解消できるとしている。
サンパウロ州以外でも北東部や内陸部の穀倉地帯と積出し港を結ぶ国家プロジェクトが進行中だ。北東部横断鉄道がそれで、開発銀行は一二五億レアルの投資を決定しており、今月中に官民合同プロジェクトとして入札を行う。これにより二〇一〇年までに三万キロに及ぶ鉄道網が新設される。関係者によると、これでも不足で、ブラジルは五万五〇〇〇キロの新設が必要だと説く向きもある。