2007年6月7日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】ルーラ大統領の実兄ジェニヴァウ・I・シウヴァ氏は五日、スロットマシン・マフィアとの癒着についての事情聴取のため、連邦警察へ召喚された。王手作戦を展開する連警は、実兄が弟の地位を利用して犯罪組織に行政機関の便宜と司法機関の保護を図ったとみている。また大統領が子息と代父関係を持つジアデーマ市水道局長のダリオ・モレリ氏と元州議のニウトン・セルヴォ氏は、犯罪組織の運営に関与したとして逮捕された。二人は、ジェニヴァウ氏の別荘で知り合ったという。
ついにルーラ大統領の周辺にも捜査の手が回った。大統領は実兄の不正関与を信じられないというが、五月三十一日に連警捜査で実兄の名前が浮上したことは知っていた。裁判所が法的秩序の下で行うことに、一億九〇〇〇万の国民が服すべきだと、大統領が感想を述べた。
木を枯らせるために、葉や枝から落して行くらしい。訪印中の大統領は、実兄宅の家宅捜索の報告が実施後十時間経ってから知らされたことに苛立った。王手作戦で実兄の拘束には至らなかったが、ブラック・リストには名が載った。
王手作戦発動の四日前、ジェンロ法相から実兄の疑惑は聞いていた。家宅捜索の直後、法相から実兄宅が引っかき回されたが、拘束は免れたと電話で知った。ラセルダ連警長官から法相は遂次報告を受け、これから起きる何らかの兆候であることも、法相から大統領へ知らされていた。
連警の盗聴記録に録音された実兄の会話はセルヴォ元州議との対話だと子息が証言、弁護士はモレリとの対話と証言し矛盾した。子息は連警が実兄宅から押収したのは年金の申請書と言い、翌日はメルカダンテ上議宛ての書類と証言が変化した。しかし、連警はコンピューターとフロッピーを押収と発表した。
連警は大統領の実兄拘束を申請したが、裁判所が証拠不十分として拒否した。連警は裁判所の守秘義務により、ジェニヴァウ氏の拘束理由を公表しないという。連警長官は法相に対し、大統領の実兄だから慎重を期しただけで、拘束は時間の問題だとしている。
ジェンロ法相が、共和国憲法では大統領の親族といえども法律の前に平等で、政治的な配慮や与党への遠慮もないとする声明を発表した。政治家の汚職と政権当事者の職権乱用は、いつか止めを刺さねばならないと法相は意欲を見せた。
スロットマシン・マフィアのボスとみられるニウトン・セルヴォ元パラナ州議は五日、ミナス・ジェライス州で逮捕され、マット・グロッソ州カンポ・グランデ刑務所へ護送された。同容疑者は賭博の合法化で奔走していた。その協力者が大統領の実兄であった。
同容疑者の縄張りであるパラナ州のビンゴやスロットマシンが州条例で禁じられたため、リオ・グランデ・ド・スル州やマット・グロッソ・ド・スル州の連邦地裁に仮判決許可を申請していた。カラカタトゥーバ市にあるジェニヴァウ氏の別荘にいつも招かれ、親しく付き合っていた。