2007年6月6日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】連邦警察は四日、スロットマシン・マフィアを追及する王手作戦で、サンベルナルド・ド・カンポ市にあるルーラ大統領の実兄ジェニヴァウ・I・シウヴァ宅の家宅捜索を行った。実兄は事業家である知人の依頼を受けて労働者党(PT)配下の市庁や公団、政府機関へ取次ぎの仲介を図り、不正関与の嫌疑をかけられた。家宅捜索では何も押収されず、家族は安堵した。連警は四日、同作戦により全国で七十七人を逮捕した。連警の話では、盗聴記録の中にスロットマシンの取引で実兄の名前が再々浮上したという。
連警の王手作戦は、国家公務員の職権乱用と政府機関で徘徊するスロットマシン・マフィアの実体を捜査している。大統領の親族に捜索のメスが入ったので、一族は驚いた。実兄は同市ヴィラ・パウリセイア区の長屋に住んでいる。
連警は四日、サンパウロ州とマット・グロッソ、パラナ、ロンドーニア、ミナス・ジェライス、マット・グロッソ・ド・スルの各州で七十七人を逮捕と発表した。逮捕されたのは、市警や軍警、弁護士、事業家などで、犯罪組織へ便宜を取り計らい、謝礼を受け取った容疑である。
逮捕者の中に、ジルセウ前官房長官の知人という環境庁のジアデーマ支部長もいる。知人らは、裏金疑惑で失脚した前官房長官の赦免運動で活動していた。セルヴォ下議(ブラジル社会党=PSB)は一足違いで逮捕を免れた。
連警は密輸を調べるうちに,多くの警察官の関与を発見した。関与は組織的に麻薬密売の看過と拷問の依頼も受注し、謝礼を受け取っていた。スロットマシンの輸入販売システムとリベートの管理で、組織のメンバー五人と弁護士三人が逮捕された。
スロットマシンは、コンピューターの電子部品としてサントス港で陸揚げされ、マット・グロッソ・ド・スル州へ運ばれる。その後各種のゲーム機に組み立て、それぞれの組織へ発送される。組織はスロットマシンから毎日、二五万レアルの水揚げを得ている。
軍警と弁護士への謝礼は、一日当たり二〇〇〇レアルから一万レアル。組織の連絡所はサンパウロ州ボトランチン市にあった。同所で高級車とトラック多数、金の延べ棒、金塊、ドルやレアルの現金を押収した。
大統領の実兄は、マット・グロッソ・ド・スル州連警に二件の犯罪容疑がある。盗聴記録では、実兄の名前が一二〇回登場する。実兄の最年長の子息が、マリーザ大統領夫人の便利屋を引き受けたことがあり、当時危ない橋を渡っていたらしい。
ヴァヴァことジェニヴァウは大統領の実兄だが、金属工で定年となった。定年後の二〇〇五年、ひまつぶしに「なんでも屋」を始めた。口利きである。原則として無料奉仕だが、野党上議から職権乱用と越権行為で違法性が追及された。
大統領は実兄の無知を厳しく叱責した。しかし、盗聴記録から足取り追及が行われ、次々新事実が現れた。口は利いたが証拠物件がないので、立件できるかは分からない。