2007年6月6日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙四月二十五日】ルーラ大統領の星は並び方が良いらしい。二〇もある政党でルーラ大統領の悪口をいうのは、労働者党(PT)と民主党(DEM、旧PFL)の二党だけとなった。PT党内の悪口は、ご馳走を食い損ねた乗り遅れ組の根のない不満だ。
次官級人事からあぶれたPTの不満分子は、ベルゾイーニ党首に不満をぶつけたがラチが明かなかった。もう一つ不満なのは、大統領が野党連合を引き裂くため、ブラジル民主社会党(PSDB)とDEM連合の一部に愛想を振る舞っていることだ。
大統領はミナス・ジェライス州のネーヴェス知事やサンパウロ州のセーラ知事などPSDBの一部抱き込みに多忙で、身内など構っていられないのだ。この甘い話には、ジェレイサッチPSDBクラブ会長まで乗り出した。この会食に出されたメーン料理は「汝らのうちまず罪なき者が、石をもって裏切り者を打て」という名句である。
大統領がハムスターと呼び、子ねずみと呼び返したマガリャンエス上議(DEM)は会食に招かれ、喜んだ。同上議は生憎、インコールに入院中で出席は叶わないが、昨日の子ねずみに厚く礼をいった。代理でマット・グロッソ州のボス、カンポス上議が大統領府の裏口から密かに潜り込み会食に出席した。
最近の組閣では、ゲデル社会統合相とウンジェル長期計画相が入閣した。この二人について書くのは、紙とインクがもったいない。一挙一動が連日マスコミに取り上げられるような重要ポストではなく、連立与党の口ふさぎに宛がわれた組閣の余りものである。
PTは、PSDBを保守派のネオリベラルと呼んだ。筋金入りの政治家がサンパウロ州とミナス・ジェライス州、リオ・グランデ・ド・スル州を治め、政府と高次元の関係を保つと評価した。どんな密約が交わされたか知らないが、国民は昨日上京した田舎者ではない。子供だましのような政治劇が演じられたことは想像に難くない。
ルーラ大統領が文明国の例にならい野党と対話の用意があると宣言したのは、上下両院のCPI(議会調査委員会)対策で政治に行き詰まり、野党の弱点探しが目的なのだ。対話は、大声不要の罵倒も恫喝もない紳士の会合だという。これでジェレイサッチ上議も、セアラ・スティールのお土産をもらった。
近視的見方であるが、ルーラ大統領は後継者を育てない。セーラ知事やネーヴェス知事は、大統領の呼びかけが野党をも取り込んだ第三次ルーラ政権への布石ならば自殺行為だと噂している。大衆迎合だけで決定打のない政治は、大統領選の本番でボロを出すと野党はみている。