2007年6月2日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】大学自治の保障を訴えてサンパウロ総合大学(USP)の学生らが本部ビルを二十九日間占拠するなど、サンパウロ州州立大学各校で州政府への抗議活動が続く中、セーラ知事は三十一日、大学自治を保障する内容の州条例を公布し、官報に告示した。
官報には、大学運営に関する権限の一部を州高等教育局からはく奪することが明記されている。大学は州政府の許可なく、職員との賃金交渉、予算修正、入札や法令の再評価、研究機関の拡充、入学者の構成を決定できるようになった。大学によるこれら権限の維持は同局の通達で明らかにされていたが、大学側は通達では裏付けが弱いとして、過去に発令された条例の無効と新条例の公布を求めていた。
州知事は、あいまいな解釈を引き起こした過去の条例の内容を明確に伝えることを今回の条例公布の理由とした。しかし、今回公布された条例では、州政府予算管理システム(Siafem)に日々の支出・収入記録を登録することは無効になっていない。
大学関係者と学生は、今回の条例を概ね好意的に受け止めている。USP法学部のメダウアール教授は「すべてがはっきりした」として、「大学自治が保障された以上、今度は学生が本部ビルを解放する番だ。他の要求については機を見て行えばよい」と述べた。ビルを占拠している学生らは「今回の条例で対話への扉が開かれた」とする声明を発表、一日午後六時に集会を開き、解放するかどうか投票で決める予定。
一方、州政府の高等教育政策に抗議するため、USPの学生約二〇〇〇人からなるデモ隊が三十一日午後一時ごろ、大学を出発し、州知事公邸に向かった。デモ隊は一時間半後に公邸の手前一キロ地点の交差点で待機していた警官隊五〇〇人と衝突、催涙ガスにピメンタ(唐辛子)ガススプレーが使用されるなど現場は混乱した。揉み合いは五時間近く続き、学生数人が軽いけが、交通渋滞は木曜平均より四三キロ長い一六二キロに達した。
マレイ法務局長官は、本部ビルを解放しないかぎり、学生との対話には応じないとの強い姿勢を報道陣の前で示した。