2007年5月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】カリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)は二十八日、上院本会議で公共工事における予算交付のあっせん告発に対し反論した。告発は言われなきざん言であり、濡れ衣を着せられたと同議長は糾弾した。女性記者ヴェローゾさんとの婚外交渉は認めたものの、実娘と二人の生活費をロビイストのゴンチージョ氏を介しメンデス・ジュニオル建設会社によるお手当て給付は否定した。上院監査委員長のトゥーマ上議(民主党=DEM)は、同議長の説明は不十分であり、倫理委員会で審理する必要があると述べた。
上院議長は権威ある上院の公人でありながら、愛人ヴェローゾさんとの間に婚外交渉を持ち、実娘は約二年間も私生児として放置し、二〇〇五年末にようやく認知したことを公表する破目となった。実娘は二〇〇四年に生まれ、認知までの間、母子はどうなっていたのか説明が欠落した。
トゥーマ上議は、説明が中途半端で予備段階として失格と判断した。同上議は次の疑問を指摘した。一、ホテル・ブルートゥリーを専用宿舎にした理由。二、カミソリ作戦に協力した高官更迭の経緯。三、官房長官への働きかけ。四、配下をエレトロブラスへ送り込んだ理由。五、弟との関係。六、メンデス建設会社とカリェイロス一族の関係。七、同議長が一九九〇年、アラゴアス州知事選に立候補した時の資金の出所。八、娘の教育費一〇万レアルで母親と供述が矛盾する理由など。
同上議は疑問点をチェックして倫理委員会と上院執行部へ審理を要請するらしい。また週刊誌の報道と矛盾する点が多く、議長の説明も不十分という。
議長夫人と子息、甥らは上院貴賓席に招かれ、夫がプライバシーを根堀り葉堀り聞かれる様子を傍聴した。同議長の所属党PMDBは情勢の如何を問わず支持を約束したが、党内の空気は一変した。週刊誌報道の事実解明が、これからの鍵になりそうだ。
週刊誌「ヴェージャ」によれば、メンデス建設会社のロビイストであるゴンチージョ氏は毎月、私生児の養育費一万二〇〇〇レアルと家賃四五〇〇レアル、合計一万六五〇〇レアルを上院議長に支払った。しかし、この経費は認知前の期間に計上されていないので、同時期における金銭の流れは証明できない。
同議長の談話では、認知前にも実娘の教育費として総額一〇万レアルを、二〇〇六年三月と七月の二回に分割で払ったという。領収証はない。認知前の家賃も、領収証がない。同議長は税金対策と弁解するが、自己負担か第三者負担か金銭の流れは不明瞭である。愛人の経費負担は、妊娠から始まったらしい。
既成事実は、上院議長の十字架となったらしい。重い十字架を背負って、刑場へ向かう坂道を登るのか。愛人のお手当てを毎月、幼友達ゴンチージョ氏が届けるよう託したと同議長は抗弁した。お手当ては当初、愛人の指名人払い小切手で。その後は議長特別手当から落とし、第三者の代理払いはないという。