2007年5月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】「ブラジルは良好な経済環境に身を置いており、この追い風は向う数カ月続くことから、中銀は金利引き下げを短期的に加速させるべきだ」―。世銀(BIRD)は二十八日、「二〇〇七年度グローバル金融と発展」の中でこうした見解を示した。
これに加え、今年の国内総生産(GDP)成長率は四・二%、来年度は四・一%、〇九年度は三・九%で推移すると予測している。昨年度は三・七%だった。
経済成長の背景として、失業者の減少、正規雇用の増加、実質所得の増加、生産能力の伸長などを挙げている。これらを受けて、中銀はさらに基本金利(SELIC)の引き下げに拍車をかけるべきだと指摘している。
その上で政府が発表した経済活性計画(PAC)で〇七年から〇一〇年までに二四〇〇億ドルの投資が見込まれていることで、四%以上の経済成長は容易だとの見方をしている。さらにブラジルはメキシコと並び最大の輸入国であるアメリカの景気が今一つパッとしないことで打撃を受けているにもかかわらず、これをはね返す体質ができつつあると強調している。
世銀の調査によると、昨年度の開発途上国の投資総額は六四七〇億ドルと史上最高に達し、急成長ぶりを示している。世界平均の成長率が〇六年で四%、〇七年の予想が三・三%、〇八年と〇九年はそれぞれ三・六%と三・五%なのに対し、途上国では〇六年が七・三%で、〇七年以降の予想は六・七%、六・二%、六・一%と上回っている。
途上国で高度成長を示したのは中国で、〇六年は一〇・七%、その後は九・六%、八・七%、八・五%となっている。インドはそれぞれ九・二%、八・四%、七・八%、七・五%の高率となっている。
南米ではベネズエラが〇六年に一〇・三%と驚異的成長を見せたものの、原油価格下落と公共支出削減で今年以降は六・五%、三・三%、三%と失速するとみられている。アルゼンチンも八・五%(二〇〇六年)以降七・五%、五・六%、三・八%と失速気味だが、インフレ率の高騰が原因とされている。