2007年5月29日付け
明治神宮春の大祭奉祝記念短歌大会が、去る六日、同神宮で開催された。作品応募の世話役をしている小池みさ子さんによると、今回、ブラジルから藤田朝寿さんが特選に入り、当日の大会に出席、神前での玉串奉奠の代表をつとめたという。ブラジルから入選と佳作に入った作品はつぎのとおりである。
▽特選
アマゾンもインカも知らずブラジルの赭き大地を妻と耕す 藤田 朝寿
▽入選
小雀の砂にのこせる窪みあり夕日に小さき影をつくりて 崎山美知子今一度会いたしという姉の声日本の電話のいと近けれど 広田 ゆき
▽佳作
新年の宴に集いし老移民声高らかに故郷の歌
新井 均
洗礼を受けず帰化をも拒みつつ七十年をとっくに生く
梅崎 嘉明
遥かなる南の国に住み古りて秩序乱れし祖国を憂う
諏訪 とみ
逝く年の祭りの爆竹打ちつくし深き眠りの街を歩みゆく 中野 豊子
老いづきて記憶褪せゆくその中に祖国のことのみ鮮やぎており 渡辺 光