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連警の捜査は行き過ぎ=最高裁副長官ら圧力=収賄リスト公表が逆鱗に=盗聴装置から情報漏洩

2007年5月26日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】立法府と司法府の圧力を受けたルーラ大統領は二十四日、連邦警察のカミソリ作戦の妥当性を検討するようジェンロ法相に求めた。公共工事に絡む官製談合の容疑者逮捕と情報漏洩の小出しが、連邦令に照合して是か否かを審理する。ギア憲政相は閣議の後、カミソリ作戦は続行されるが、連邦令が定める義務の履行に留め、国民が有する基本的人権は保護すると弁解した。最高裁のメンデス判事がカミソリ作戦を批判したことで、連警はガウタマ建設からの収賄公表がなぜ名誉毀損に当たるかと声明を発表した。
 最高裁のメンデス副長官がソウザ検事総長に基本的人権の勉強をするよう提言したことで、摩擦が生じた。連警が公表した収賄リストには、三権の重要人物一〇〇人以上が名を連ねている。その一人がメンデス副長官である。本人はどこのメンデスのことか分からないという。
 収賄リストに名を連ねた主な面々は、カリェイロス上院議長を始めリーマ国家統合相、マガリャンエス上議、ロリス元首都直轄区知事、アマラウ下議など他多数。地方自治体にメンデス姓の同姓異人は多数居り、同姓を理由に捜査へ乗り出した検察庁に、副長官が正面対決を挑んだ。
 連立与党の要人多数が吊るし上げられたことで、政治政策会議は連警の行き過ぎを咎める声で法相を袋叩きにした。法相は事実解明を約束したが、それが連警の権威失墜に当たらないし、カミソリ作戦の中止にも至らないと反論した。
 憲政相は連警の行き過ぎがカミソリ作戦の中止にはつながらないという。連警の作戦は連警の権限であり、連邦令執行の任務だという。身柄拘束は、国外逃亡や証拠隠滅を阻止するのに必要と認めた場合に行われると述べた。基本的人権の尊重も、やぶさかではないという見解だ。
 しかし、最高裁のメンデス副長官は、盗聴記録に「メンデス」と出たから副長官だと断定する連警が早計だという。粗製乱造の身柄拘束は、ファシズムの卑怯な常とう手段だと糾弾した。高等裁は拘束を認可し、朝令暮改式の釈放も軽率である。担当判事は連警の拘束申請書を確かめずに盲目版を押したという。
 法曹界は、連警の手法が軽挙で司法府に対するどう喝だとし、メンデス副長官を弁護した。犯罪対策が「毒は毒を以って制する」から手段を選ばない慣習へ、ブラジルを巻き込んだと批判した。ブラジル弁護士会(OAB)は、警察がアクション映画の主人公になってはいけないと警告した。
 連警諜報部は、盗聴装置のミスで情報が漏洩したという。ハリケーン作戦で盗聴した五〇〇〇時間の記録HDに、カミソリ作戦の一部が混ざっていた。HDは連邦地裁リオ支部へ回送され、混在した一部を削除するためHDを回収したが、その際に漏洩したらしい。
 ジェンロ法相は、大統領の要請が職務上の慣例で、情報漏洩により誤解が生じただけだと連警弁護に回った。カミソリ作戦は長い年月をかけて行っていたもの、連警が命がけで任務を全うし、多少のあつれきが生じるのは当然とみている。同作戦の内容はマスコミなどで公開をする性質のものではなく、メンデス副長官の挑発は逆効果だと法相が諌めた。