2007年5月24日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】連邦警察の剃刀作戦は二十二日、レナン・カリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMD)に矛先を向けた。裁判所の許可を得て行われた盗聴記録によれば、公共工事マフィアのガウタマ建設会社は、上院議長の弟オラーヴォ・カリェイロス下議(PMDB)を介して、アラゴアス州の公共工事へ渡りをつけていたことが判明した。ロンドー鉱動相を辞任に追い込み、サルネイ上議の周辺を揺さぶった同作戦は、カリェイロス上議の周辺へ照準を向けたようだ。
大将を射らばまず馬なのか、サルネイ上議の懐刀ロンドー鉱動相の失脚に続き、上院議長のカリェイロス一族に矛先が向いたようだ。ガウタマ建設は、アラゴアス州の公共工事へ進出するため、カリェイロス家の支持を取り付けたらしい。
剃刀作戦の三四七件にわたる盗聴記録によれば、アラゴアス州政界の名門カリェイロス家とヴィレラ家の名がひんぱんに浮上した。この二家は、ガウタマ建設が同州の公共工事を独占する足がかりであった。その予算交付の補足令上程役が、オラーヴォ・カリェイロス下議であった。
盗聴記録に上院議長と州知事の生の声はないが、二人の配下の人間がガウタマ建設へひんぱんに出入りした様子を記録している。ガウタマ建設のズレイド社長は、取引の背後に上院議長とヴィレラ州知事(ブラジル民主社会党=PSDB)がいることを再々示唆した。
ヴィレラ知事の片腕として州政府とガウタマ建設を仲介したのは、エネアス・アレンカストロ氏。同氏はブラジリアにおけるアラゴアス州代表である。
二月十四日の盗聴記録によると、上院議長の弟カリェイロス下議の方から予算交付の便宜を図ることを、ガウタマ建設へ申し入れている。下議には金銭的な理由があってガウタマ建設を動かしたと伺われる。
アラゴアス州のインターチェンジの公共工事は、同州インフラ課のテノーリオ課長がガウタマ建設へ入札抜きで発注の段取りを指導した。カリェイロス下議は二〇〇七年、同工事の補足令を上程することなく、予算交付を取り付けた。
カリェイロス下議とガウタマ建設の癒着は一九九七年、同下議がアラゴアス州インフラ課長であったころからだ。ガウタマ建設でズレイド社長の片腕となったパウメイラ専務は、元インフラ課職員であった。アラゴアス州インフラ課とガウタマ建設の癒着は、既成事実であったのだ。
カリェイロス上院議長は、連警の剃刀作戦とは無関係の自分の名前を上げ、同件へむすびつけようとする作為を遺憾だと抗議した。弟のしていることは、自分とは一切無関係だという。裁判所の捜査調書は極秘のはずだが、連警が故意に漏洩しているとも。
上院議長がガウタマ建設のズレイド社長と三十年来の交際があると第三者に言わせ、事実であるかのように風評をねつ造する。政府は至急事実解明を行い、噂の一人歩きを防ぐよう上院議長が要請した。政治に空白ができると、政治的に悪用する。事実を風評で隠し否定的世論を盛り上げ、失脚へ追い込むのが政敵の常とう手段だという。