2007年5月19日付け
憲法を改正する手続きを定めた国民投票法がやっと可決された。振り返って見ると、47年5月3日の施行から60年間も、憲法改正の法的な規定がなかったのが、むしろ―おかしい。しかも、護憲派である共産党と社民党はともかく、民主党までが「反対」して国会の審議は混乱した。尤も、渡辺秀央元郵政相は「政治家としての信念」を貫き賛成に1票を投じたし、これに近い民主党の参議員も多かったに違いない▼この法案審議がなぜ難航したかは、いろいろあるけれども、民主党の小沢一郎代表の「豹変」がある。元々は改憲論者の小沢代表は、旧新進党、自由党の頃にも、憲法改正の必要性を積極的に展開したのは誰しもが知っている。ところが、民主党の代表に就任すると、この論を引っ込めてしまい、自民党との対立を軸とした政策を掲げるようになる。7月に迫った参院選で勝利するために、憲法論議は避けるべきとの意見らしい▼勿論、参院選挙は大切だけれども、国家の基本を決める憲法の議論や改正の方が遥かに重要である。少なくとも、目の前の選挙や政局絡みのことで憲法改正の手続きという問題を脇に押しやる「小沢流セイジ」は如何なものか―。一方の安倍首相は、参院選で「憲法改正を争点にする」と語っている。これは当然なことであって、新しい参議員の任期は6年あり、その間に憲法改正の国会論議は必ずやなされるからである▼今や改憲論者の方が多く、この国民投票法の成立で国民の討論も一歩前へと踏み出した。改憲、護憲といろんな意見があり、どんな憲法がいいのかの論議をさらに深めたい。 (遯)