2007年5月18日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙一七日】ドル相場が十五日に二レアル割れとなったのに引き続き、十六日にはさらに前日比一・四六%下げて、一・九五三レアルで取引を終えた。前日の一・九八二レアルからの下げ率は、十一カ月ぶりの大幅なものとなった。
前日のレアル高に対し中銀が現物および先物で急きょ二〇億ドルの買い支えで介入したものの、カントリーリスクを設定するS&P(スタンダード&プア―ズ)がブラジルのリスクを引き下げたことで、外国から投資が殺到、さらなるレアル高となった。
S&Pのリスクは十六日、史上最低となった一四六ポイントに迫る一四七ポイントになった。S&Pによると、外債ポジションが有利に展開しているのと、経済成長の期待感がリスクを下げた要因だという。これにより十六日の株取引は活発に推移し、サンパウロ証券取引所(ボベスパ)の株価指数は前日比二・四一%上昇して五万一七三七ポイントとなり、これまでの最高を更新した。
突発的なドル安相場に金融市場は混乱を見せており、大半がドル安レアル高は継続するとの見方で一致しているものの、予測するのはリスクが大きいとしている。
サンタンデル・アセット・マネージメントは昨年末、当時のドル相場が二・一五レアルから二・二〇レアルだった時点で、今年の第1・四半期で一・九〇レアル台になると予測したものの、今回は五里霧中で予測もつかないとして不透明さを強調している。
ただし政府が無政策ぶりを続け、さらに中銀が現在行っているような介入を継続するならば、数カ月内に一・八〇レアル台に割れ込むだろうとの見方をしている。
金融アナリストの一部は中銀介入の資金コストは貧困家族手当(ボルサ・ファミリア)の倍に達しており、年内には限界に達すると指摘する声もある。いっぽうで、これに反し資金的に問題はないまでも、中銀介入はドル安を緩和するのみで、逆転する力はないとして、根本的な経済改革が不可欠だとする向きもある。
これに関してルーラ大統領は十六日、対策についてコメントすることなく、単にドル安で生活コストが下がることで「サラリーマンにとっては良い傾向」と述べるにとどめた。
いっぽうでマンテガ財務相は、輸入関税ゼロなどを視野に入れた「ショック療法」が必要だとの見解を示しながらも、政府の対応策には検討に時間を要するとの認識を強調した。