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チエテ川の汚染悪化=実らない当局の努力=元凶は未処理下水タレ流し

2007年5月17日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】サンパウロ州の主要河川であるチエテ川がサンパウロ州当局の努力にもかかわらず、二〇〇六年度は汚染がさらに悪化した状態となった。汚染の最大の原因は洗剤の流入で、これによりリンやアンモニアなどの有害物資が増加したことにある。このほか近隣市町村の未処理下水のタレ流しや市中のゴミが流れ込んでいるのも要因となっている。
 環境技術公社(CETESB)がとりまとめた調査報告によるもので、〇五年度の水質調査では酸素が一リットル当り平均〇・五ミリグラムで、魚が住める状態の十六分の一だった。この状態はチエテ川が九〇年代に「死の河」といわれた水準に戻ったという。
 州政府が国際機関の援助で四億レアルを投じてチエテ川の改修を行ったことで過去数年間は汚染が解消されていた。しかし〇五年から悪化し、〇六年度は酸素含有ゼロの地点も出てきている。
 CETESBによると、汚染は川上のモジ・ダス・クルゼス市から始まっているという。汚染物質が流れ込むのはサンパウロ市がトップで、次いでグアルーリョス市、さらにABC地区の順となっている。とくにグアルーリョス市では下水が処理されずにそのままチエテ川にタレ流しとなっており、汚染の元凶だと指摘している。
 同市は下水処理の確たるプロジェクトがなく、唯一州の援助費の予算が計上されていない。これに対しセーラ州知事と同市当局との間で論争が展開された。これにより同市は二〇三〇年までに下水処理を完備すると宣言したものの、知事は悠長なことを言わずに早急に対処すべきだと突き上げている。
 CETESBによると、中流以降に設置した河水処理により酸素含有率が八%にまで上がり、生きた川となっていることから、近隣市町村が公害規制を厳しくし汚染を食い止めることで、理想の川に戻すことは夢ではないと強調している。