2007年5月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ボリビア政府は十四日、同国石油公団(YPFB)に対し、ベネズエラ石油公社(PDVSA)と天然資源拡大に関する提携の交渉を推進することを許可したと発表した。
この背景にはブラジルのペトロブラス(石油公団)がボリビアに建設した二カ所の精製プラントを売却して撤退を決めたことにより、それまでペトロブラスに依存していたプラントのメンテナンスおよび発掘の後釜が早急に必要となったもの。YPFBはこれらに関する技術を有していないことからベネズエラに支援を仰ぐ形となった。
ボリビア政府は数カ月以内に三〇億ドルの新規投資を必要とし、ベネズエラ以外にもロシアのガスプロンと折衝を続けている。これらの交渉および決定権はYPFBに一任され、入札なし、内外を問わないとの異例の措置を取っている。
この裏にはアルゼンチンとの天然ガス供給契約が履行できないという懸念が表面化したのも一因となっている。アルゼンチン向に二〇〇九年から日量二七七〇万立米のガス供給が開始されるが、現在の生産量では到底おぼつかず、それまでにガス田開発が大義名分となっている。このほか国内の需要増加とブラジルへの安定供給も背負っている。
ボリビアのモラレス大統領は就任直後からベネズエラのチャベス大統領に急接近し、石油および天然ガス事業でペドロアンジナと名打った合弁会社を設立している。今回のYPFBとPDVSAの提携でボリビア政府はますますベネズエラに片寄ることになる。両社の提携によりボリビア政府は、同国ラパスの北方のマジジ地区の国立公圏内での新油田発掘に期待している。
ペトロブラスとフランスのトータルも同地区のリオ・オンダ地帯での一〇〇万ヘクタールに及ぶ発掘契約を有しているが、環境保全が障壁となって、現在に至るまで事業が展開できない有様となっている。