2007年5月15日付け
【浜松発=池田泰久記者】年々増加する在日外国人による交通事故を改善しようと、日本初の外国人交通安全教育指導員として今年四月に静岡県警に採用された日系ブラジル人女性、スズキ・ルシアネ・クリスチーナ・プラドさん(31、三世)が十一日、浜松市内のブラジル人学校「エスコーラ・カンチーニョ・フェリス」(池原マリーザ校長)で児童・生徒ら約五十人を前に、交通安全講習会を行った。
地元のメディアも取材に駆けつけた中、クリスチーナさんは自作の交通標識パネルを用いて、児童らにポルトガル語で母国との交通ルールの違いを説明。雨が降っている時の横断歩道の渡り方など、シチュエーション別に、高学年の生徒には自転車での交通ルールを指導した。
同県警の運転免許課によれば、運転免許を取得している同県内の在日外国人による交通事故は年々増えており、昨年は日本人の事故率と比べると一・五五倍を記録。日本語の不足に加えて母国との交通ルールの違いを十分に理解していない運転者の増加が背景にあるという。
クリスチーナさんはミナス・ジェライス州ベロオリゾンテ市出身で、九一年に来日。同県の工場などで働いたほか、東京では英語の通信教育の案内セールスなどをしながら日本語を勉強。今年から通訳の仕事を探していたところ、今回の交通安全指導員の募集を見つけ採用が決まった。
講習会を終えて同学校児童の山田ブルートくん(6つ)は「道を渡るときには手をあげることを初めて知った」と感想。またクリスチーナさんは「子どもたちが話をしっかりと聞いてくれて嬉しかった。これから忙しくなりそうです」と笑顔で語っていた。
この日の講習会のほかにも九日、クリスチーナさんは、同市内の企業でブラジルからのデカセギを対象にした交通安全教室を開き好評だった。県警本部の関係者は「彼女はとても勉強熱心な性格。この機にいろんな企業から講習依頼が来ているのでどんどん要請に応えていきたい」と話している。