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「政府間の紛争ではない」=大統領、ボリビア問題で=天然ガス供給にも楽観姿勢

2007年5月10日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日、既報関連】ペトロブラス(石油公団)がボリビア政府に対し、同国での石油精製所売却に関し最後通牒を発したのを受けて、ルーラ大統領は公団の問題であり「当面は政府の関与するものではない」との考えを強調した。その上でこの問題はあくまでもペトロブラスとYPFB(ボリビア石油公団)との間の売却価格に絡むケンカであり、政府間の紛争ではないとの見解を明らかにした。
 しかし将来的に問題がコジれた場合は政府が介入し、国際裁判所に提訴するのもやぶさかではないとの強い決意も示した。それにともない、ボリビアからのガス供給に支障は起きないとの楽観的姿勢を見せた。
 ペトロブラスが態度を硬化させたのはボリビア政府が六日、YPFBに原油とガソリンの独占販売権を与えることを発表したことによるもので、ペトロブラスはそれまでたとえ少数株主でもとどまって経営参加を意図していただけに、寝耳に水の決定と受け取った。これによりボリビアの活動を停止し、製油所売却の最後通牒となったもの。
 これに対しルーラ大統領は、ペトロブラス内部では場合によっては精油プラントの売却は止むなしとの結論に達しており、ただし「適切な価格」を要求しているに過ぎないとの認識を強調している。また今回の紛争で一番懸念されるのが天然ガス供給問題だが、これに対し大統領は、話し合いは妥結しており、ボリビア国会でも承認されるもので、これ以上問題になるはずはないとの見解を示した。
 いっぽうでボリビアのモラエス大統領は、ボリビア情報局(ABI)を通じてペトロブラスとの価格紛争を話し合いで解決できるものだとして、ブラジルの様な隣国同士は国際裁判所で係争すべきではないとの談話を発表した。ロンドー鉱動相によると、ボリビア鉱山相の要請でペトロブラス代表団が九日、ボリビア入りして交渉のテーブルに着くという。
 ルーラ大統領の側近によると、大統領はモラレス大統領に対して我慢の域を通り越して怒りを表明しているという。地下資源の国有化宣言以来、今回の決定でブラジルの寝首をかくのは三度目になる。今回のペトロブラスの対応も大統領の意向が反映されていると伝えられている。
 ルーラ大統領は四月十八日に行われた南米エネルギー会議でモラレス大統領に相互援助を強調している。その翌日、ブラジリアでの経済審議会でモラレス大統領は「朝令暮改」として不信感をあらわにし、旅国関係が必ずしも友好的ではないことを浮き彫りにした。