2007年5月9日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ペトロブラス(石油公団)は八日、ボリビア政府に対し、同国における原油精製事業からの撤退と、コチャバンバとサンタクルースの精製所売却への公式回答を四八時間以内に行うよう求めた。これはボリビア政府が六日、同国石油公団YPFBによる原油とガソリンの販売独占制定に対するブラジルの対応とされる。同国は同二品を国際価格より安価で輸出し、精製所の流動資金を接収する考えだと見なした。モラレス大統領が今回制定した法令は、ペトロブラスがボリビアの石油事業へ永久に関与せざるを得ないものにしたという。
四八時間以内の回答要求は、ボリビア政府が石油精製所の接収に対する補償で双方が合意に達しなければ、国際司法裁判所で決着をつけるという最後通牒ともいえそうだ。ペトロブラスはこれまで、ボリビア石油事業への関与を一部に留める考えであった。
しかし、ボリビアのモラレス大統領が六日、同国石油公団YPFBによる石油製品販売を独占する法令を制定し、事態が急変した。ボリビアは、国際市場で原油とガソリンの特価販売を行うという。この一方的措置は、ペトロブラスの投資計画に支障を来たす。
ペトロブラスは、ボリビア石油では小株主に留まる考えであった。しかし、同令により計画は白紙となった。ボリビア石油精製所の流動資金はペトロブラスの資産であり、ボリビア政府が手をつけることは許されない。同令は、ブラジルの意表を突いた想定外の内容だと政府は非難した。
ロンドー鉱動相とペトロブラスのガブリエリ総裁、ギマランエス外務次官が記者会見に応じ、ボリビア政府の独占販売令について法律と資金面で説明した。結論としてボリビア政府には威かくの意向はないようだが、ガス供給遮断という切り札があるという。
ボリビア政府の一方的対処はこれからも、ブラジルの意外な弱味を突きそうだ。独占販売は石油事業の財政を考慮したもので、ペトロブラスの法的権利外にある。しかし、ボリビア政府の対処は否定的インパクトを与え、ブラジルとの外交関係にも影響する。
ペトロブラスとボリビア政府は長期にわたり、精製所の売却交渉を行った。しかし、ボリビア政府はタダ同然の価格しか提示しない。ブラジル向け毎日二四〇〇万立方米のガス供給を絶やさないため、ボリビアの資源開発に最小限度の資金協力を行う考えだ。
ボリビアのヴィレガス石油相は八日、独占販売令はペトロブラスを直撃したが、販売の流動資金でペトロブラスに支障を来たすものではないと声明を発表した。ペトロブラス自身が豊かな運転資金を独自に有しており、ボリビアの独占販売で影響を受けないはず。
四八時間以内の回答とは、ボリビア政府がいいたいこと。ボリビア政府の提示価格で合意するかを待っているという。精製所は接収でも没収でもない。正規の手続きを踏んだ商談だというのだ。ボリビアへの投資は、ボリビア・リスクという薄氷の上を歩くような、難問との駆け引きといえそうだ。