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エタノールで伯米協調=石油依存から脱却=両国で国際市場をリード=中南米諸国に朗報

2007年5月9日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四月二十五日】米上院のリチャード・G・リュガー上議は二十四日、ルーラ大統領とブッシュ米大統領との間で交わされた米州エタノール協定について、次のような内容を明らかにした。米政府は、和平の目途がつかない中東の石油依存から脱することを米経済戦略の要とした。石油に代わる代替燃料としてエタノールで伯米両国は、生産技術の推進と国際基準の設定で協力する。ルーラ大統領を三月三十一日、キャンプ・デービッドへ招いたのはブッシュ米大統領の発案であり、バイオ燃料の国際市場設定で両国は指導的立場をとる考えだ。
 ブッシュ米大統領の訪伯は、ラテンアメリカと米国間の関係改善と架け橋を再構築するものであった。ブラジルはその座長だ。ラテンアメリカ地域では反米感情から敵意を持った国まであり、米政府は対策に怠慢であった。
 エタノール協定は伯米両国にとって有益であるばかりでなく、米国に批判的な国も含めて中南米に朗報をもたらす。一部の国はエタノール旋風が同地域に混乱を巻き起こすと伯米協定に水を差す。しかし、同協定がエネルギー開発で中南米各国の経済事情を一変させることは明白だ。
 伯米エタノール協定は完全に機能すれば、経済発展の核となって中南米全体に及ぶものである。同協定によって西半球の経済戦略が、同地域の国際的、経済的地位を短期間に改善する。中南米は親密な外交関係と相互協力により、安定したエネルギー資源を共有する必要がある。
 草案中のバイオ法は、同協定の資金面を強化する。資金の裏付けができれば、中南米のバイオ燃料物流機構や生産能力の向上、技術革新も支援する。同時に心配される環境保全や食糧確保にも配慮する。
 牛肉や豚肉、ブロイラーを生産する牧畜業者からトウモロコシを取り上げたことで、問題を起した穀類を使用しない植物繊維のエタノール開発も急ピッチで研究している。バイオ法は炭酸ガス市場の開設と植林奨励も含まれる。繊維エタノールや植林、バイオ関係インフラには、米州開発銀行が支援をする。
 米国産エタノールの増産も含めて二〇一七年までに三五〇億ガロンが、ブッシュ政権の再生可能エネルギー確保の目標である。トウモロコシ原料の米国産エタノールは二〇一〇年、一四〇億ガロンを生産目標としている。さらにブラジル産の輸入を期待する。
 イランのヒズボラへの軍事援助ルートが明らかになり、イスラエル対ヒズボラの緊張は一触即発の状態にある。イスラエルは、ヒズボラの背後で暗躍するイランを叩くため核の使用も辞さない構えだ。そんなことが起きたら、エネルギー事情はどうなる。政情不安な中東地域からの石油依存を減らすのが、伯米エタノール協定の目的である。
 米国がブラジル産エタノールに関税と課徴金を課すのは、米国のエタノール生産者を戦略的理由で絶やさないためである。米戦略と無関係なブラジルのエタノール生産者に犠牲を強いるのは不当であるが、追々解決する。
 草案中のバイオ法では、関税と課徴金がもたらす各業界への影響と米戦略のシュミレーションを行っている。また撤廃した場合の政治的影響と経済的影響、戦略的影響、コスト、恩恵も検討中である。時代遅れとは知りながら、冷戦時代の思考で米政府はエネルギー問題を扱っている。いわばバイオ法は、ブラジルと運命を共にすることを米国民に納得させる法律である。