2007年5月9日付け
クリエイティブとは何か――、コミュニケーションとは何か――。企業ロゴ、ファッションブランド、製品コンセプト、洋服、テレビのオープニングなど、あらゆる媒体の領域を超えた、斬新的なデザインを生み出し活躍している日本人、緒方信行さん(29)。イタリアで本格的な指導を受け、〇一年、ブラジル人とともにリオで、クリエイティブハウス「OESTUDIO」を設立した。FIATやソニーBMGの広告、パンアメリカン大会では、ブラジル代表選手のユニホームデザインも担当し、その活動の幅を拡大しつつある。
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「大学に入って二年弱くらいで、気付いたらデザイン(の分野)に入っていた」という緒方さん。幼少のころからデザインに関心があったわけではなかった。早稲田大学在学中に、コマーシャル製作会社でアシスタントを務めながら撮りためた独自の映像作品が、世界的な写真家オリビエロ・トスカーニ氏の目に止まったことが、緒方さんの活動の始まりだ。
毎年世界中から二十五歳以下の人材二十五人を招聘しているベネトンリサーチセンター「FABRICA」に、十九歳という史上最年少で招かれ、トスカーニ氏のアシスタントとして二年の間、徹底的に指導を受けた。緒方さんは「毎日、クリエイティブとは何か、って考えさせられた。最初の三カ月間は地獄の毎日」と苦笑いで振り返った。
「もとは映像作家だったんだけど、メディア全体のライフスタイルを考えたい。例えば、畳のデザインなんかも考えてみたいと思った」。
二年間のニューヨーク滞在ののちに、来伯。「とりあえず手にしてみる」というブラジルの文化が気に入り、FABRICAで学んだ仲間らとともに、〇一年にクリエイティブハウスの設立に至る。
「自分たちは広告代理店もやるし、プロダクション(製作会社)でもある」と緒方さん。映像、ウェブ作成、CDのジャケットなど、メディアを駆使した様々な活動を展開。〇三年からOESTUDIOブランドの洋服をブラジル、日本、ヨーロッパで販売している。
「ファッションショーにしても、洋服を見せるだけでなくて〃アートをプレゼンする〃。環境のデザインもするし、自分らが思うアーティスティックな(芸術に関する)ことはやっていきたい」。
緒方さんは、「人を幸せにする仕事をしたいなって思って。自分から幸せなものを作っていくことをしたい」と、今後の大きな抱負を語った。
OESTUDIOのホームページ=http://www.oestudio.com.br/